貴重な遊泳シーンの撮影に成功!
同プロジェクトは2017年にスタートし、これまで21回の海洋遠征と、無人潜水ロボット「スバスチアン(SuBastian)」による計182時間以上の撮影を完了しています。
場所はアメリカが領有する太平洋上の離島近海で、グラスオクトパスは、太平洋の赤道付近に位置するフェニックス諸島周辺の深海で発見されました。
つい先日終了したフェニックス諸島での調査は34日間にわたり、3万平方km以上におよぶ海底マッピングと、5つの海山のビデオ撮影を行っています。
その中で、グラスオクトパスは2回目撃されました。
本種は「Vitreledonella richardi」という学名で、1918年に初めて見つかった頭足類です。
しかし、これまでの調査で見つかったのは、捕食生物の腸内から発見された遺骸ばかりで、生きた姿はほとんど確認されていません。
そのため、今回撮影されたグラスオクトパスの遊泳する姿は非常に貴重です。
それがこちら。
全身は透明で、内部の眼球や視神経、消化管など、色のついた器官がはっきり見えます。
グラスオクトパスの研究はあまり進んでいませんが、全長は大人で約45cm、頭を覆う外套膜は最大で11cmになるという。
手足の長さは、幼体で外套膜と同じくらい、大人になると外套膜の2~3倍まで成長します。
また、吸盤は他の種のタコとは異なり、一つ一つの間隔が空いていて、一列に並んでいます。
しかし、これ以外の生態は分かっておらず、今後の調査が必要です。
調査主任のランディ・ロットジャン氏(ボストン大学、Boston University)は「公海およびアメリカ領海内における未踏海山の生物多様性の記録に貢献できたことは、非常に刺激的でした。
国連が掲げた『持続可能な開発のための海洋科学の10年(UN Decade of Ocean Science for Sustainable Development)』の始まりである今こそ、すべての海洋景観を広く網羅した保護について考えるべき時であり、私たちが収集した海底マップや映像データが、新たな公海保護区をめぐる意思決定において大いに役立つことを期待している」と述べています。