福島の避難区域に生息するアオダイショウ
福島の避難区域に生息するアオダイショウ / Credit:Hannah Gerke(University of Georgia)_Using snakes to monitor Fukushima radiation(2021)
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福島の残留放射線レベルの調査にスネークが活躍

2021.07.25 Sunday

2011年3月、日本の福島第一原子力発電所で原子力事故が発生しました。

10年経過した現在でも、放射線レベルの高い一部の地域では「帰還困難区域」として避難の徹底が求められています。

こうした危険区域の状況を調査するため、アメリカ・ジョージア大学(University of Georgia)に所属するハンナ・ゲルケ氏ら研究チームは、福島第一原子力発電所付近に生息するヘビの活動を追跡しました。

これにより、ヘビが残留放射線の効果的な指標生物になると判明。

研究の詳細は、7月7日付の科学誌『Ichthyology & Herpetology』に掲載されました。

Using snakes to monitor Fukushima radiation https://news.uga.edu/using-snakes-to-monitor-fukushima-radiation/
Movement Behavior and Habitat Selection of Rat Snakes (Elaphe spp.) in the Fukushima Exclusion Zone https://bioone.org/journals/ichthyology-and-herpetology/volume-109/issue-2/h2019282/Movement-Behavior-and-Habitat-Selection-of-Rat-Snakes-Elaphe-spp/10.1643/h2019282.short

福島に生息するヘビの活動を調査

研究の対象となったのは、福島第一原子力発電所の北西約25kmにある阿武隈(あぶくま)高原です。

チームはこの地域に生息するヘビを1カ月以上にわたって調査し、1718匹の居場所を特定

これにより、ヘビから検出される放射性セシウムのレベルが、捕獲された土壌の放射線レベルと高い相関関係にあると判明しました。

追跡装置を付けたアオダイショウ
追跡装置を付けたアオダイショウ / Credit:Hannah Gerke(University of Georgia)_Using snakes to monitor Fukushima radiation(2021)

そこでチームは、ヘビがどこで時間を過ごし、どこまで移動していたかなど、さらに詳しく調査することにしました。

9匹のアオダイショウ(学名:Elaphe climacophora)にGPS送信機などの追跡機器を取り付け、3カ月以上追跡したのです。

その結果、アオダイショウの行動圏は0.15~6.80ha(ヘクタール)、毎日の移動距離は30~116mだと判明

タヌキやイノシシ、鳥と比べてはるかに狭い範囲で活動していることになります。

また小川に近い地域や廃墟となった村・農場を中心に活動していることも分かりました。

では、福島のヘビの生態からどんな点が明らかになったのでしょうか?

次ページヘビは放射能汚染の指標となる

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