がん幹細胞を死滅させる特効薬が開発される
今回、研究チームが開発した抗がん剤「MIRX002」には、マイクロRNAが利用されています。
このマイクロRNAは人の体内で合成されるもので、遺伝子の発現を調整することでさまざまな生命現象を制御してくれます。
そしてがん患者の体内では、がんによる遺伝子異常によりマイクロRNAの発現が低下しています。
そこにMIRX002を投与してマイクロRNAを補充。
これにより、遺伝子の異常な働き(がんの増殖)を抑制できるのです。
またがん細胞を根絶するには、がんの親玉である「がん幹細胞」を死滅させなければいけませんが、MIRX002にはその能力があるとのこと。
これによりがんの完治につながる可能性があります。
さらにこの新薬は、正常な細胞とがん細胞を明確に区別できるため、副作用のリスクが極めて少ないと考えられています。
実際、マウス用いた試験では、1~3回の投与で、顕著な腫瘍の縮小と生存率の大幅な延長が認められました。
そしてこの新薬はすでに臨床段階に入っています。
9月には、世界で初めて人に投与する予定なのです。
またMIRX002は、悪性胸膜中皮腫だけでなく乳がん、すい臓がん、食道がん、頭頸部がん、卵巣がんなどの多様ながん治療にも応用できる可能性があるとのこと。
将来、多くの人を救うかもしれない「がんの特効薬」が、今まさに実用に向けて前進しているのです。