ゲームがもたらす良い影響
多くの親は、ゲームが子どもにもたらす悪影響を心配していて、どのように管理するかに悩んでいることが多いでしょう。
しかし、キース氏は「悪影響を与えるどころか、新しいコミュニケーションの機会をゲームは与えてくれている」と話します。
「マインクラフトについてザックと話したことで、私は彼が何を好み、何になりたいのか、彼について多くのことを学ぶことができました」
子どもと一緒にハマっている親が多いことも、マインクラフトの重要な魅力の1つかもしれません。
研究者のリングランド氏は、ここで交わされる子どもたちの会話内容にも着目しました。
その多くはゲーム内での喜びについてや、現実世界での問題に対する不安や悲しみ、そして多くの反省だったといいます。
ゲームの中で自閉症の子どもたちは、自分の感情を吐露し、自由に表現できていたのです。
これはマインクラフトが社会的行動の多くをサポートしていることの現れだといいます。
もちろん「Autcraft」はルールに守られた優しい世界であり、他のプレイヤーに嫌がらせをしたり、所有物を破壊したりすると、BAN(立入禁止)されてしまいます。(ただし、幼い子どもにはもう少し寛容なルールが敷かれています)
けれど、そんな「Autcraft」のようなコミュニティは、自閉症の子に対して、社会への不安を感じずに、より積極的に行動しようとするための良い第一歩になっているのだろう、とカリフォルニア大学ロサンゼルス校で自閉症の若年成人に人間関係の構築方法を教えているエリザベス・ローガソン氏は述べています。
ただ、彼女はマインクラフトがこうしたスキルを身につける唯一の方法ではない、という点については注意しています。
創造性を自由に発揮でき、社会的不安を感じさせないマインクラフトの世界は、社会との繋がりに困難を抱える自閉症の子どもたちに良い影響を与えています。
これは単にいい話ですね、というだけでなくゲームのあり方について考えさせる重要な事例かもしれません。
単にゲームの悪影響についてだけを不安視する声もよく聞かれますが、仮想世界には社会との関係に困難を抱える人々を救う重要な要素が含まれていることも、見逃してはならない事実でしょう。