「人の歯」を持つ魚を捕獲
「人の歯」を持つ魚を捕獲 / Credit: Jennette’s Pier/facebook
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「人の歯」を持つ魚が大西洋岸で捕獲される

2021.08.15 Sunday

今月3日、アメリカ東部・ノースカロライナ州の沿岸部で、不気味な魚が捕獲されました。

なんとその魚は、人そっくりの歯を持っていたのです。

一体、何ものなのでしょうか?

Sheepshead Fish With Human-Like Teeth Plucked From North Carolina Coast https://www.smithsonianmag.com/smart-news/sheepshead-fish-human-teeth-plucked-north-carolina-coast-180978396/ Fish with ‘human teeth’ caught in North Carolina https://www.livescience.com/sheepshead-fish-human-teeth-north-carolina

「人そっくりの歯」で貝類をバリバリ食べる

魚は、大西洋に面するジェネット桟橋(Jennette’s Pier)にて、地元の釣り人により釣り上げられました。

メリーランド州天然資源局(Maryland Department of Natural Resources)によると、この魚は新種ではなく、「シープスヘッド・フィッシュ(学名:Archosargus probatocephalus)」というスズキ目タイ科の既知種です。

名前は、頭や口先が羊に似ていることに由来し、これと別に、黒と白のシマシマが囚人服に似ていることから、「囚人魚(convict fish)」という不名誉なあだ名も付いています。

捕獲されたシープスヘッド
捕獲されたシープスヘッド / Credit: Jennette’s Pier/facebook

本種はおもに、ニューヨークからブラジルまでの大西洋沿岸でよく見られ、ニューヨークのブルックリンにあるシープスヘッド港(Sheepshead Bay)の由来にもなっています。

体長は最大で90センチ、重さは約9キロにもなり、その頑丈な歯で、カキやアサリ、甲殻類をバリバリと食べます。

他にも海藻類や軟体動物を好物としており、こうした雑食性が、人と同じような鈍くてずんぐりとした歯を作り出したようです。

アメリカの科学雑誌『Scientific American』によると、成熟したシープスヘッドは、上あごに3列、下あごに2列の臼歯を持ち、獲物の硬い殻でも噛みくだけるようになっているという。

最も人の歯に近いのは前歯で、これまで人と同様にエナメル質に覆われています。

シープスヘッドの口内には無数の臼歯が見える
シープスヘッドの口内には無数の臼歯が見える / Credit: Jennette’s Pier/facebook

一方で、最初から頑丈な歯を持っているわけではありません。

稚魚のうちは歯が小さいので、おもに藻類や軟体動物を食べ、成長とともに歯が丈夫になると、貝類を食べ始めます。

しかし、これだけ強い歯を持っているなら、泳いでいる人を噛み付いたりしないのでしょうか?

カリフォルニア科学アカデミー(California Academy of Sciences)の魚類学者であるデビッド・カターニア氏は「こちらがちょっかいを出さない限り、攻撃してくることはない」と言います。

ただし、シープスヘッドは食用に適しており、よく釣り人に狙われるので、捕獲後に鋭い尾びれなどで指をケガすることはあるようです。

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