なぜ陰謀論を研究するのか?
陰謀論に関する真面目な研究がある、ということが一般の人にはまず驚きかもしれません。
しかし、心理学や社会学の分野では、陰謀論の効果を無視することはできないのです。
これまでの研究から、陰謀論が人々の信念や行動に大きな影響を与えることが明らかとなっています。
それは例えば、気候変動や予防接種などの人類全体の重要な問題に対する、人々の見解や意思決定にさえも影響を与えてしまっています。
今回研究を行った英国では、約60%の人が少なくとも1つの陰謀論を信じていることがわかっていて、その人気の理由を理解することはとても重要なのです。
しかし、これまでの陰謀論に関する既存の研究は、すべて大人を対象として行われていました。
こうした研究では、陰謀論への信仰を質問票を使って測定しますが、この調査方法も大人を想定して作られています。
そのため、若者がいつ、どのような理由で陰謀論を信じるようになるのか、またそれらの信念が時間経過とともにどのように変化するかについては、十分な知見が得られていなかったのです。
そこで今回、英国のノーザンブリア大学、ケント大学、グラスゴー大学、バーミンガム大学、ノッティンガム・トレント大学が協同で若者を想定した陰謀論質問票「Adolescent Conspiracy Beliefs Questionnaire(ACBQ)」を開発し、調査を実施したのです。