ロシアンブルーは「恐がり」、ペルシャは「大人しい」、シャムは?
本研究は、ネコの行動を直接観察するのではなく、飼い主を対象に、動物福祉サイト「Petsofi」に掲載された138問のアンケートに答えてもらう形をとりました。
というのも、ネコは、イヌと違って警戒心が強く、実験室と自宅とで行動が大きく異なります。
そのため、実験で観察すると不正確な結果になる可能性が高いのです。
そこで今回は、飼い主に飼っているネコの種、性別、年齢、毛色、行動に関する質問に答えてもらいました。
また、一定の期間が経過した後に、もう一度アンケートに答えてもらいます。
これにより、2つのアンケートを比較することで、結果の正確性を高めることができました。
最終的に、年齢が確認できないもの、欠落している情報が多いものなどを除外し、合計4316匹のネコからデータが得られています。
データ分析の結果、対象となった全てのネコは、5つの性格と2つの行動特性に大別できました。
それが以下の7つです。
・活動的/遊び好き(Activity/playfulness)
・恐怖心が強い(Fearfulness)
・人間への攻撃性(Aggression towards humans)
・人間への社会性(Sociability towards humans)
・他の猫への社会性(Sociability towards cats)
・トイレ問題(Litterbox issues、トイレを嫌がったり、使い方が下手だったりする)
・過剰なグルーミング(毛づくろい、Excessive grooming)
この結果から、種によって性格と行動の傾向が異なることも判明しています。
たとえば、最も恐怖心が強いのはロシアンブルーで、反対に、恐怖心が低く、行動が大胆なのはアビシニアン。
最も活動的なのはベンガルで、最も大人しく受動的なのはペルシャとエキゾチック。
過剰なグルーミングをするのはシャムとバリニーズで、人間への攻撃性がかなり高く、他のネコへの社交性が低いのはターキッシュバンでした。
本研究の目的は、ネコの行動分析を行うことではなく、行動に関する情報を収集するための調査の有効性を示すことにあります。
報告されたネコの種や年齢を確認できないなど、いくつか限界はあったものの、全体として、今回の調査モデルは、ネコの性格を理解するための有用なツールになると考えられました。
研究主任で、獣医科学者のサラ・ミッコラ氏は、次のように述べています。
「ネコの行動や性格は、イヌに比べて分かっていることが少なく、それに関連する問題行動(おもに攻撃性と不適切な排泄)への対象法もあまり理解が進んでいません。
問題のある行動を抑制し、ネコの福祉を向上させるためには、より多くの理解とツールが必要です。
今後の研究では、より複雑なモデルを用いて、性格や行動に影響を与える要因を調べていきたいと考えています」
ネコが飼い主の元で安全に、満足して暮らしていくためにも、それぞれの猫種の性格をもっと理解しなければならないでしょう。