血液をろ過する腎臓
腎臓は体の腰より少し上の位置に背骨を挟んで左右に1つずつついています。
2つあるためよく借金のカタに取られる臓器としてネタにされますが、人体において果たすその役割は非常に重要です。
腎臓は血液中にある毒素や老廃物をろ過し、きれいになった血液を体へ戻して、不要なものは尿として体外へ排出させます。
いわゆる浄水場のような臓器です。
そのため、腎臓が機能しなくなると体内の血液は汚れたまま浄化されなくなってしまいます。
医学的には、腎臓の機能が正常時の30%以下に低下した状態を腎不全といいます。
そして、慢性腎不全に陥った場合、機能の回復は不可能となります。
この症状が進行した場合、放置すれば死に至るため、腎臓病患者は血液透析によって、人工的に血液の浄化をする必要が出てきます。
しかし、この治療は非常に患者に負担がかかります。
人工透析は、週に2~3回行う必要があり、1回の血液透析には5時間ほどの時間がかかります。
また侵襲的な治療であるため、患者にはかなり不快感があるとされ、潜在的なリスクも伴います。
腎臓病患者は、こうした治療を生きている限り一生続けなければならないのです。
これはかなり人生の質に影響する問題です。
臓器移植という解決方法もありますが、移植臓器は患者数に対してまるで足りておらず、また移植した場合も免疫抑制剤や抗凝血剤といった薬を使用する必要があり、患者にはリスクが伴います。
そこで、こうした問題を解決させるために血液のろ過ができる人工腎臓の開発が研究されているのです。
そして今回、免疫抑制や抗凝血剤などの薬を使用する必要のなく患者に移植して本物同様に機能させることができるプロトタイプの実証に成功した研究チームが登場しました。