木星の嵐の渦
木星は赤茶色の縞模様が特徴的ですが、これらはすべて木星上空に浮かぶ雲であり、猛烈な勢いの風にのって惑星を吹き荒れています。
そんな木星の表面で有名なのが、赤い染みのように浮かぶ「大赤斑」と呼ばれる領域です。
これは木星大気圏で荒れ狂う巨大な嵐で、一説によると300年前から観測されているといわれています。
木星のサイズ感がよくわからないで見ているとそれほど大きくは感じないかもしれませんが、大赤斑の大きさは地球のほぼ2.5倍です。
地球の直径は1万2756キロメートルで、大赤斑の大きさは約3万9000キロメートル×1万4000キロメートルとされています。
この飛んでもなく巨大な長期間続く木星の嵐は、風速が時速約650km(秒速350m)もあり、気温は-140℃というからすごい環境です。
大赤斑は循環する木星の風の隙間に生じていますが、これがどういった理由で発生したのか? どんな構造をしているのか? はまだ良くわかっていません。
地球の台風にも似ていますが、台風と呼べる構造の嵐なのかどうかもよくわかっていません。
そのため、ハッブル宇宙望遠鏡は定期的にこの大赤斑の観測を続けています。
そんな中で新たに発見されたのが、大赤斑の風速が中央と外周部で変化しているということでした。
ハッブル宇宙望遠鏡の2009年から2020年にかけてのデータを比較したところ、嵐の外周部の風速は10年間で約8%も上昇していることがわかったのです。
嵐の中心部はずっと速度が遅く、のんびりクルーズを楽しんでいるような速度しか出ていない、とハッブルのサイトでは説明されています。
しかし、この嵐の回転が10年で8%加速したという情報には何の意味があるのでしょうか?