太古のものを封印する永久凍土
永久凍土とは、北半球の約2300万平方キロメートルを覆う、1年を通して凍りついた土の層です。
表面は季節によって溶けることもありますが、地中深くに行くほど温度は下がるため、永久凍土の深い層ほどより古いものが閉じ込められています。
特に北極圏の永久凍土のほとんどは100万年前のものだといわれています。
そこには何千年にも渡って微生物の他に、自然のプロセスや事故、あるいは人間による意図的な保管によって、さまざまな化合物が収容されてきました。
しかし、永久凍土が名前の通り凍りついている時代は終わりに近づこうとしています。
最近の研究では、気候変動により北極圏が世界の他の地域よりも、はるかに速く温暖化が進んでいることがわかってきました。
現在の推定では、2100年までに地表近くの永久凍土層の最大3分の2が溶けてしまう可能性があると考えられています。
そうなると、永久凍土に長く封印されてきたさまざまなものが、世界に解き放たれることになります。
まず真っ先に危惧されるのが、温室効果ガス(二酸化炭素とメタン)の大気中への放出と、景観の急激な変化です。
しかし、ESAとNASAによる最新の研究では、永久凍土融解の影響はもっと深刻な事態を引き起こす可能性があると警告しています。