血糖値は関係なくケトン食は効果なし
カロリー制限食とケトン食はマウスの腫瘍成長にどのような影響を与えたか?
結論から言えば、効果があったのはカロリー制限食のみで、ケトン食にはほとんど効果がありませんでした。
糖質を制限しているという点においては、カロリー制限食もケトン食も同じながら、結果は非常に異なるものでした。
この結果は、腫瘍の成長において、糖質の制限が大きな役割を果たしていないことを示します。
ではなぜカロリー制限食は腫瘍の成長を抑える効果があったのか?
謎を確かめるために研究者たちは、実験期間中のマウスの血液を調査しました。
結果、カロリー制限食を食べていたマウスでは、脂質レベルの大きな低下が確認されます。
一方でケトン食を食べていたマウスでは、脂質のレベルが上昇していました。
この結果から研究者たちは、脂質の制限が腫瘍の成長を阻害したと考えました。
がん細胞は増殖するにあたって新たな細胞膜を必要としますが、細胞膜の多くは脂質で作られています。
がん細胞にとって脂質は自身の建材と言えるでしょう。
しかし通常、脂質が足りない場合、細胞は脂質を自分で「作る」ことが可能です。
つまり脂質不足になるとは考えにくいのです。
そうなると、大きな問題が生じます。
細胞は脂質を自給できるのに、脂質不足に陥っていたという矛盾が生じるからです。
そこで研究者たちが目を付けたのが、脂質の質の違いでした。