食事療法の入門は「Easy」でも効果を出すのは「Very Hard」

今回の研究により、腫瘍の成長を抑制する食事効果が、カロリー制限食にあることが示され、糖質と腫瘍成長の直接的な関係が否定されました。
カロリー制限は単純に腫瘍を脂質不足にするだけでなく、脂質のバランスを維持する酵素の働きをブロックして細胞膜の生産障害をまねいていたのです。
単純なカロリー制限が人間の知らない場所で2重効果をうんでいたという事実は非常に興味深いものです。
まとめると、腫瘍の抑制効果を最も与えるの食事療法は、単純なカロリー制限食(40%削減)であり、飽和脂肪酸を多くとった場合のみ、ケトン食も効果があるということになります。
がん細胞は私たちと同じ遺伝子を持つ細胞がベースにあるため、誰もが満足するような豊かな食事では、増殖を防ぐことはできません。
カロリーを絞り、脂質のバランスを崩し(健康に悪い飽和脂肪酸を多くとり、健康にいい不飽和脂肪酸を減らす)、酵素の活性を低下させるという、ある程度は生命活動に反する食事が必要です。
(※今回の研究はマウスのすい臓がんを中心に分析が行われているため、人間でも同じ結果になると判断するには追加の検証が必要です)
研究者たちは今後、どのような食事が飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸のレベルを最も崩すか(不飽和脂肪酸不足にするか)を調査していくとのこと。
食事療法は誰もが手をつけられる一方で、効果的な方法をみつけだすのは非常に難しいようです。