メキシコのグアダルーペ島で研究者が撮影したホオジロザメに体を擦り付けるマアジの群れ
メキシコのグアダルーペ島で研究者が撮影したホオジロザメに体を擦り付けるマアジの群れ / Credit:Jesus Erick Higuera Rivas
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魚たちはホホジロザメのことを皮膚掃除のブラシとして使っていた!

2021.11.11 Thursday

ホホジロザメは恐ろしい海の捕食者のイメージがあります。

しかし、そんなサメの周りには多くの小さな魚たちが集まって来ます。

これまで、それはサメと共生関係にある魚たちと言われていましたが、実はサメの餌になるマアジなどの魚たちも擦り寄っていることが確認されたのです。

マイアミ大学(UM)の研究チームは、サメの保護・研究を行う中で捕食対象の魚たちがサメに擦り寄り体を擦り付ける行動を数多く確認しました

この行動の理由は正確には判明していませんが、研究者たちはサメのヤスリのような肌を魚たちが自分の肌の掃除に利用していると推測しています。

研究の詳細は、10月28日付で科学雑誌『Ecology, The Scientific Naturalist』オンライン版に掲載されています。

Study finds fish rubbing up against their predators — sharks https://news.miami.edu/rsmas/stories/2021/11/study-finds-fish-rubbing-up-against-their-predators-sharks.html
Sharks as exfoliators: widespread chafing between marine organisms suggests an unexplored ecological role https://esajournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/ecy.3570

サメに擦り寄る魚たち

獰猛な海の捕食者であるサメは、他の魚たちの嫌われ者と考えがちですが、実はよく周りを多くの魚たちに囲まれています。

そうした映像では、たいてい「この魚はサメについた寄生虫などを取り除く共生関係の魚なんです」と説明されています。

しかし、研究者たちは、保護・研究を目的とした、サメの監視活動の中で、本来捕食対象となるマアジなどの魚たちが、自らホホジロザメなどに近づき、体を擦り付けている事実を確認しました。

本来サメの餌にもなるマアジは、わざわざサメを探して近づき体を擦り付けている
本来サメの餌にもなるマアジは、わざわざサメを探して近づき体を擦り付けている / Credit:Sharks as exfoliators,UMiamiRSMAS

こうした例は、これまでにも観察されていたものでしたが、これが魚たちにとってどの程度一般的な行動なのか、あまり良く知られていませんでした

そこで今回、マイアミ大学の研究チームは、魚たちのこの奇妙な行動の実態を調査することにしたのです。

そしてチームは、世界13カ所で記録されたドローン映像や、水中撮影、ダイバーの目撃証言などを調査し、同様の事例が47件あることを発見しました。

魚たちのサメと擦れ合う行動は、8秒から5分以上とさまざまで、ホホジロザメ以外にもジンベエザメなど8種類のサメで確認されました。

擦り寄る魚の種類もさまざまなで、ジンベエザメには別のクロトガリサメが体を擦っているのも記録されています。

またその数は、一度に1匹から100匹以上と、これもまちまちでした。

研究者たちの想像以上に、魚たちがサメに擦り寄る行動は、海で一般的に広く行われているものだったのです。

しかし、魚たちはなぜ危険な捕食者にたいして、こんな行動を取るのでしょうか?

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