人間も注射1本で脊椎損傷を回復できるかもしれない
今回の研究で、高速振動するナノファイバーを用いて脊椎損傷を再生できることが示されました。
ナノファイバーが振動することで2種類の信号分子が周囲の細胞にショックを与え、周囲の細胞の再生する力を引き出していたのです。
現在の薬剤の多くは単一の成分で構成されていますが、新たに開発されたナノファイバーは多くの分子の集合体でできており、そのような薬は現在「超分子薬」と呼ばれるようになっており、次世代の薬剤のスタンダードになる可能性があります。
研究者たちは現在、人間により近い霊長類での実験をパスして、人間での試験をはじめられるようにFDA(アメリカ食品医薬品局)に働きかけを行っています。
もし人間でもマウスと同じような効果がある場合、事故や怪我で脊椎が損傷しても、注射1本で回復できるようになるかもしれません。
また脊椎の神経と同じく中枢神経である脳の損傷に対しても効果がある場合、脳卒中やパーキンソン病、アルツハイマー病などの患者の脳細胞再生薬として使えるかもしれません。
複数の成分を組み合わせた「超分子薬」の可能性はmRNA療法と一緒に未来の医学を支える存在になるでしょう。