「私たちは見られているのか?」地球文明の信号が届く距離
地球が発するシグナルの中には、単なる自然現象では説明できないものがいくつかあります。
それが「テクノシグネチャ」と呼ばれる技術的痕跡です。
今回の研究チームは、地球から発せられるさまざまな信号を分析し、その中でも特に有力なものがどのくらい離れた宇宙から検出可能なのか、その距離を計算しました。
例えば、私たちの日常生活の中で当たり前のように飛び交うテレビやラジオの電波。
実はこれらは宇宙空間にも漏れ出しており、外部からの観測対象となる可能性があります。
研究でこうした問題について計算した結果、興味深い事実が浮かび上がってきました。
まず地球の近隣と言える星系はプロキシマ・ケンタウリ(4.24光年)を含む約50星系で、ここから検出できる痕跡が「大気汚染物質」の証拠です。
例えば、フロンガス(CFC)は自然界には存在しない物質であり、遠方からの分光観測でこれが検出されれば、地球には産業文明が存在する証拠となり得ます。
こうしたフロンガスの検出は、4.36光年先からでも可能であることがわかり、プロキシマ・ケンタウリもその範囲に収まります。
また、宇宙通信や科学観測に使われる高出力レーザーの存在も見逃せません。地球は3,000基以上の人工衛星が取り巻いており、NASAのディープスペースネットワーク(DSN)や惑星探査機との通信に使うXバンド電波は、最大65光年先まで届くと計算されました。
これらの光が偶然にも別の文明に検出されれば、地球の存在を知らしめることにつながるかもしれません。
そしてもっとも遠くまで届くと計算されたのが、地球外文明へのメッセージとして意図的に送信された電波信号です。
この中で有名なのが1974年にアレシボ天文台から発信された「アレシボ・メッセージ」です。
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このメッセージの到達距離は12,000光年にも及ぶと考えられており、銀河の中心方向にまで広がっています。
銀河中心方向は、当然多くの星系が集中しているため、この範囲には数十億個の恒星系が含まれており、知的生命体が存在する可能性の高いエリアといえます。
そのためもし宇宙に知的生命が存在するなら、かなり遠くから地球を見つけてもらえるかもしれないのです。
ただ、それは本当に良いことなのでしょうか?