完璧な「アインシュタインリング」を発見!
この発見を主導したのは、独マックス・プランク天体物理学研究所(MPI for Astrophysics)のコナー・オリオーダン(Conor O’Riordan)氏を中心とする研究チームです。
今回の画像はユークリッドが2023年9月の試験観測の中で撮影したものであり、地球から約5億9000万光年離れた場所にある銀河NGC 6505が観測対象とされました。
そして送られてきた画像データを調べたところ、NGC 6505を取り巻くようにして美しい光の輪っかが捉えられていたのです。
この光の輪っかの正体はNGC 6505のさらにずっと背後、地球から約44億2000万光年の彼方にある別の銀河の光であることがわかっています。
その銀河の光が宇宙の「重力レンズ効果」によって曲げられた結果、NGC 6505を取り囲むような円となって見えていたのです。
これを「アインシュタインリング」といいます。
![画像](https://nazology.kusuguru.co.jp/wp-content/uploads/2025/02/aa53014-24-fig1-600x600.jpg)
天才物理学者アインシュタインは一般相対性理論の中で「巨大な天体がある場合、その重力によって周囲の時空間が歪むことで、その背後にある天体の光が曲げられる現象が起きる」という重力レンズ効果を予測していました。
時空間が歪むとはイメージしにくいかもしれませんが、例えていうなら、トランポリンの上にボウリングの玉を置くと、その重さで面が歪みますよね。
その状態をイメージするとわかりやすいでしょう。
そしてアインシュタインリングは、観測者の視点(宇宙望遠鏡ユークリッド)・レンズとなる天体(銀河NGC 6505)・背後の天体(約44億2000万光年先の銀河)が一直線に並ぶことで、観察することができる珍しい現象なのです。
これまでにもアインシュタインリングはいくつか前例がありましたが、ここまで完全な環状のものは極めてレアなものでした。
またシミュレーションによると、今回のようなアインシュタインリングが見つかる確率はわずか0.05%だったといいます。
一方で、銀河NGC 6505は1884年に発見されて以来、天文学者たちによって何度も観測されてきた有名な天体でした。
にも関わらず、今回初めてこのようなアインシュタインリングが見つかったのは、ひとえに宇宙望遠鏡ユークリッドの性能のおかげなのです。