破滅後のポンペイに人々が戻っていた

ポンペイの南部地区「インスラ・メリディオナリス」で行われた修復と保存作業の最中、考古学者たちは意外な痕跡を発見しました。
それは噴火後に再び人が住み着いた証拠です。
火山灰に埋もれた建物の上階だけが露出し、そこに簡易的な住居が作られていました。
元々の地上階は灰に埋もれていましたが、建物内部からは下の階に降りることができ、そこは貯蔵庫や作業場として利用されていました。
実際、地下のようになった空間には暖炉やかまど、製粉用の臼が設置され、生活の営みがあったことがわかります。
戻ってきた人々は、噴火を生き延びたものの、他の土地に移る手段や金銭的余裕がなかった住民たちと見られます。
さらに近隣からやってきた定住地を持たない人々や、廃墟に眠る財宝を狙う者たちも加わっていました。
こうしてポンペイは、かつての整然とした都市ではなく、不安定で雑然とした集落のような姿へと変貌していきました。
考古学者ガブリエル・ズクトリーゲル氏によると、この再定住の痕跡は以前から存在していたものの、過去の発掘ではほとんど記録されず、灰の下の豪華な壁画や遺物を急いで掘り出す過程で取り除かれてしまったといいます。
新しい調査によって初めて、ポンペイの「死後の姿」が鮮明に浮かび上がってきたのです。