Credit:OpenAI,ナゾロジー編集部
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楽しい気分が長続きしない人は何が原因なのか

2025.08.24 12:00:25 Sunday

友人と楽しい時間を過ごしたのに、家に帰るとすぐに気分が落ち込んでしまう。

推しのライブにいってものすごく喜んだのに、翌日にはその喜びがほとんど残っていない。

そんな風にとても楽しいことがあったのに、その喜びがすぐに消えてしまい虚しい気持ちになったという経験はあるでしょうか?

最新の研究によると、このような感情の不安定さには「孤独感」が深く関わっている可能性があるようです。

米国ペンシルベニア州立大学(The Pennsylvania State University,PSU)のジー・ウン・カン(Jee eun Kang)氏らの研究チームは、孤独を強く感じる人ほど日常生活で感情の浮き沈みが大きく、とくに楽しい気分が持続しにくいことを明らかにしました。

この発見は、孤独が単に「気分を暗くする」だけでなく、「良い気分を続けて保つことを難しくする」という新しい側面を示しています。

研究の詳細は、2025年7月14日付で科学雑誌『Cognition and Emotion』にオンライン掲載されています。

Higher loneliness is associated with greater positive and negative emotion instability in everyday life https://doi.org/10.1080/02699931.2025.2527854

日常の気分を“何度も測る”新しい調査方法で孤独を検証

研究チームは「孤独な人の気分は安定しにくいのか」という疑問に答えるため、日常生活の中で気分を繰り返し測定しました。

孤独とは「望む人間関係と実際の人間関係との間にギャップがある状態」です。

これまでの研究では、孤独な人は平均的にネガティブ感情が強く、ポジティブ感情が弱いことが分かっていました。

しかし「気分の安定性」までを詳しく調べた研究は多くありませんでした。

そこで用いられたのが、スマートフォンで1日数回「いまの気分」を答えてもらうという調査方法です。記憶に頼らず、その場その場の気分を記録できるのがこの手法の特徴です。

研究参加者はニューヨーク市ブロンクスの住民で、年齢は25〜65歳の252人です。この中で少なくとも3日分の連続データが取得できた251人が解析対象となりました。

参加者は14日間、1日5回の通知にあわせて、その時点の気分を回答しました。

結果として、多数の“気分の瞬間測定”が集まりました。通知の時間は各自の生活リズムに合わせて活動時間帯にランダムに配置され、平均で約2時間半ごとにアラートが鳴る設計でした。

孤独感は「人から切り離されている」「理解されていない」といった感覚を尋ねる質問票で測定され、全国平均を基準にした得点が高いほど、孤独感が強いことを意味します。

また、気分は「嬉しい」「楽しい」といったポジティブ感情と、「緊張」「落ち込み」などのネガティブ感情の両方を0〜100のスケールで答えてもらいました。

研究では「昨日と今日でどれくらい気分が変わったか」を数値化し、気分の安定しやすさを指標にしました。

さらに、年齢や性別、結婚の有無といった基本情報に加えて、うつ症状などの影響も考慮し、孤独そのものの影響を切り出す工夫がされています。

このように研究は「その場の気分をくり返し測る」「日ごとの差を数値化する」「関係しうる要因を取り除く」という工夫を組み合わせ、孤独と気分の安定性の結びつきを確かめました。

次ページ孤独な人ほど気分が安定せず、とくに「楽しさ」が長続きしない

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