骨折リスクと食習慣、その知られざる関係

私たちの骨は年齢とともに弱くなり、特に高齢者では「骨粗鬆症」と呼ばれる病気によって骨折のリスクが高まります。
一度骨折すると、寝たきりになったり、介護が必要になったりと、生活の質が大きく低下してしまうため、骨粗鬆症の予防は高齢化社会の日本にとって重要なテーマです。
これまで骨折リスクに関連すると考えられてきたのは、「運動不足」「喫煙」「飲酒」など、いわゆる不健康な生活習慣です。
また、カルシウムやビタミンDの摂取不足が骨密度を下げることも広く知られています。
しかし「朝食を抜く」「夕食が遅くなる」といった食習慣自体が、骨折リスクにどう関係しているかは、これまで十分に調べられてきませんでした。
「朝食抜き」が骨密度の低下と関係しているのでは、という指摘はあったものの、実際に骨折リスクがどれほど上昇するのかは未解明。
また、「遅い夕食」にいたっては骨の健康への影響を調べた研究が存在しなかったのです。
一方で、現代社会では働き方や生活リズムの変化から、朝食を食べる時間が取れない人や、帰宅が遅く夕食のタイミングが夜遅くになる人が増えています。
こうした“食習慣の乱れ”が、見過ごされがちな健康リスクをはらんでいるかもしれない。
この素朴な疑問から、奈良県立医科大学の研究グループは前例のない大規模データ解析に挑みました。