1100万人の調査で分かった「骨折リスク」と食習慣
研究チームは、日本全国の健康診断データと医療のレセプト(診療明細)を連結した「DeSCデータベース」に着目。
このデータベースには2014〜2022年に健康診断を受けた20歳以上、しかも過去に骨粗鬆症と診断されたことがない約1,100万人分ものデータが含まれています。
研究では、健康診断時の問診票から「朝食抜き(週3回以上朝食を抜く)」「遅い夕食(週3回以上、就寝2時間以内に夕食)」という食習慣をピックアップ。
これらの食習慣と、実際に骨折が発生したかどうかのデータをつなぎあわせ、他のリスク要因(年齢や性別、喫煙や運動習慣、持病など)を調整したうえで骨折リスクを算出。
その結果、解析対象となった約92万人のうち、約2万8千人が骨粗鬆症性骨折を発症していたことが分かりました。
そして朝食を抜く習慣がある人は、そうでない人と比べて骨折リスクが18%も高いということが判明。
さらに「遅い夕食」も、骨折リスクを8%上昇させることが示されました。
この2つの食習慣を両方持っている人では、骨折リスクは23%増加し、複数の要因が重なることで相加的に影響が強まることも明らかになったのです。

また、喫煙や運動不足、睡眠の質が悪い人も骨折リスクが高いという従来の知見も再確認されています。
特に「朝食抜き」の人は、喫煙や運動不足、体重増加など、ほかの不健康な生活習慣も重なっている傾向がありました。
このことから、朝食を抜く・遅い時間の夕食といった食習慣の乱れだけでなく、その背景にある生活スタイル全体に目を向けることが大切だと、チームは指摘しています。
たとえば仕事や家庭の事情で食事時間が不規則になりやすい人は、知らず知らずのうちに骨の健康リスクを高めてしまっている可能性があるのです。
「骨折しやすいのは高齢の方で、自分にはまだ関係ない」と思っている方も多いかもしれません。
しかし、骨の健康は若いうちから積み重ねていくもの。
毎日の朝食をきちんと食べることや、夕食の時間を意識するだけで、将来の骨折リスクを減らせる可能性があります。