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Credit: canva
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なぜ夜になっても脳のスイッチを「オフにできない」人がいるのか

2025.11.28 07:00:20 Friday

夜になっても頭の中の思考が止まらず、ベッドの中で延々と雑念がつづく。

「不眠症」の人たちは、日常的にこのような経験をしています。

布団に入ったのに、なぜか昼間のように次から次へと考えが浮かんできて、なかなか眠りに落ちることができません。

この「脳のスイッチが切れない」悩みの背後に、私たちの体内時計や脳の働き方に深い秘密が隠されていることが、南オーストラリア大学(USA)の研究で明らかになりました。

研究の詳細は2025年10月29日付で学術誌『Sleep Medicine』に掲載されています。

New study shows why some minds can’t switch off at night https://medicalxpress.com/news/2025-11-minds-night.html
Cognitive-affective disengagement: 24h rhythm in insomniacs versus healthy good sleepers https://doi.org/10.1016/j.sleep.2025.106881

夜に“切り替えられない”脳、不眠症の人に共通する特徴とは?

研究チームは今回、不眠症のなかでも「睡眠維持障害」(一度眠っても途中で何度も目が覚めてしまうタイプ)の高齢者16人と、同年代の健康な睡眠者16人を比較し、彼らが24時間ベッド上で起き続けるという特別な実験を行いました。

この実験では、被験者を外部の刺激や行動リズムから隔離し、純粋にの内部リズムだけを観察します。

参加者たちは1時間ごとに、思考の内容や感情、コントロール感など8つの質問に答え続けました。

その結果、健康な睡眠者も不眠症の人も、思考や感情の活動には「24時間リズム(概日リズム)」が存在することが確認されました。

例えば、健康な睡眠者では、日中には問題解決型の思考が活発になり、夜や早朝にはだんだん夢のようなイメージや非現実的な思考へと移行しやすくなっていたのです。

しかし、不眠症の人たちには大きな違いがありました。

彼らは夜になっても「連続的な思考(次々と展開する頭の中の流れ)」が持続しやすく、しかもそのピークは健康な人より約6時間半も遅れていました。

また「現実から夢の世界への切り替え幅」が小さく、脳が本来“静まる”はずの夜になっても、日中のような思考パターンを引きずってしまっていたのです。

さらに、自分の思考をコントロールする感覚も夜間に十分低下せず、「頭がオフにならない」状態が続いていました。

次ページ原因は「体内時計」と「思考のクセ」

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