蝶の幼虫はアリを騙し、「女王アリ」のような世話を受ける
こうした関係は「好蟻性」と呼ばれます。
こうした関係には、巣の近くで恩恵を受ける程度のものもあれば、アリがいないと生きていけないほど強いものもあります。
強い好蟻性を持つ種では、幼虫はアリの巣に運び込まれ、守られ、ときには餌まで与えられます。
これまで、この“潜入”の仕組みは主に匂い、つまり化学シグナルで説明されてきました。
アリはフェロモンで仲間を見分けるため、幼虫がその化学的な手がかりを真似れば、巣の中に受け入れられやすくなります。
今回の研究者たちは、そこにもう1つ重要な要素があるのではないかと考えました。
それが、地面や植物、巣の壁を伝わる微細な振動のリズムです。
過去の研究でも、幼虫は化学的にだけでなく、リズム的にもアリの“言語”を使っていると説明されています。
そこで研究チームは、アリ2種とチョウの幼虫9種が出す振動音響信号を、高感度の装置で記録しました。
調べたのは、振動のテンポ、信号と信号の間隔、リズムの規則性、そしてどのような時間パターンを持っているかです。
また種ごとの差だけでなく、アリとの関係の強さによってリズムがどう変わるかも比較しています。

その結果、すべての種に共通して見られたのが、一定間隔で刻まれる単純なリズムでした。
ところが、アリと、アリとの結びつきが強い幼虫では、それに加えてもっと複雑なリズム構造も見つかりました。
つまり幼虫は、ただ振動を出しているのではなく、アリに似たリズム構造を使っている可能性が示されたのです。
より詳しい結果は、次で見ていきましょう。



















































