ハトは楽園実験でカオスを生成していた――「ご褒美が確実」でも違う答えを試し続ける
ハトは楽園実験でカオスを生成していた――「ご褒美が確実」でも違う答えを試し続ける / Credit:Canva
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ハトは楽園実験でカオスを生成していた――「ご褒美が確実」でも違う答えを試し続ける

2026.04.21 20:30:55 Tuesday

アメリカのアイオワ大学の研究チームが、6羽のハトに対して8か月間・3万回におよぶ実験を行いました。

課題はいたってシンプル。

5つのボタンをどんな順番でつついても必ずエサがもらえるという、ハトにとっては”パラダイス”のような設定です。

論文著者のワッサーマン教授もこの環境を「何をやっても報酬がもらえる、至れり尽くせりの環境」と表現しています。

常識的に考えれば、ハトはすぐに「一番ラクな順番」を見つけて、そればかり繰り返すようになるはずです。

100年以上前に提唱された「効果の法則」――ご褒美がもらえる行動は繰り返され、他の選択肢は淘汰される――という、心理学の教科書の1ページ目に書かれている原理です。

ところが、ハトたちはこの「正解に落ち着く」ことを拒否し、あえて様々なパターンを試していました。

研究者たちは、このハトの振る舞いを「カオスの淵(edge of chaos)で反応している」と表現します。

いったいなぜ、ハトたちは自分にとって一番ラクにエサをもらえる道を選ばず、わざわざ違う順番を試し続けたのでしょうか?

研究内容の詳細は2026年4月6日に『Journal of Experimental Psychology: Animal Learning and Cognition』にて発表されました。

Variability, stability, and the law of effect. https://psycnet.apa.org/doi/10.1037/xan0000427

120通り「全ての選択が正解」――ハトに与えられた「楽園」

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Credit:Canva

あなたも、こんな経験はないでしょうか?

通勤経路は決まっているのに、なぜか今日は違う道を試してみたくなる。コンビニでいつも買うパンがあるのに、たまには別の棚を覗いてしまう。

合理的に考えれば非効率なのに、”なぜか寄り道をしたくなる”――ハトたちも、まさに同じことをやっていました。

実験の舞台は、アイオワ大学心理学・脳科学科の実験室です。

6羽の成体ハトがそれぞれ別の防音室に入れられ、15インチのタッチスクリーンの前に配置されました。

画面には5つの色鮮やかな幾何学模様ボタンが円形に配置されています。

ルールはこうです。

5つのボタンをそれぞれ1回ずつつつけば、エサがもらえる。

順番は問いません。1→2→3→4→5でも、5→4→3→2→1でも、2→4→1→5→3でも構いません。

数学的に、5個のボタンをすべて1回ずつつつく順番は5の階乗(5×4×3×2×1)=120通り存在します。そのすべてがエサの対象です。

同じボタンを連打することはできませんが、重要なのは、どの順番を選んでも正解であり、もらえるエサの量は同じという設計です。

「このような恵まれた環境下で、鳥たちはどのような行動をとるだろうか?」――ワッサーマン教授の問いは、こうして始まりました。

次のページではいよいよ、ハトたちが見せた”常識破り”の行動を見ていきましょう。

次ページ「いつもの順番」に飽きて、わざと別を試すハトたち

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