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history archeology

950年前の「ディンゴの墓」を発見ーー500年に渡り「お供物」が続いていた証拠も

2026.05.19 17:00:10 Tuesday

人と犬の関係は、ただ「飼う」という言葉だけでは説明できないことがあります。

一緒に暮らし、狩りを助け、傷つけば世話をし、死後も忘れずに供物を捧げる。

そんな深い関係を物語るディンゴの墓が、オーストラリアで発見されました。

豪シドニー大学やオーストラリア博物館などの研究チームは、同国ニューサウスウェールズ州西部のダーリング川沿いで、約950年前に埋葬されたディンゴの遺骨を分析。

このディンゴは、オーストラリア先住民バーキンジ(Barkindji)の人々の祖先によって丁寧に埋葬されており、さらに死後およそ500年にわたって、川のイガイの殻が供えられ続けていた可能性が示されています。

研究の詳細は2026年5月18日付で学術誌『Australian Archaeology』に掲載されました。

950-year-old burial of a pet dingo is first clear archaeological evidence of humans ritually ‘feeding’ a grave anywhere in the world https://www.livescience.com/archaeology/950-year-old-burial-of-a-pet-dingo-is-first-clear-archaeological-evidence-of-humans-ritually-feeding-a-grave-anywhere-in-the-world 1,000-year-old dingo bones show that it was injured, cared for, and ritually buried https://www.popsci.com/environment/dingo-bones-ritual-burial-australia/
Garli: A millennium-old dingo burial on the Baaka (Darling River), Kinchega National Park, Menindee Lakes, Western New South Wales https://doi.org/10.1080/03122417.2026.2650909

ケガを負っても生き延びたディンゴ

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オーストラリア大陸とその周辺に生息するタイリクオオカミの亜種「ディンゴ」/ Credit: ja.wikipedia

発見場所は、ニューサウスウェールズ州西部のキンチェガ国立公園、メニンディー湖群に近い川沿いでした。

この地域はバーキンジの人々にとって伝統的な土地であり、ディンゴは単なる野生動物ではなく、人々の生活に深く関わる存在でした。

埋葬地はもともと、バーキンジの長老であるアンクル・バジャー・ベイツ氏と、国立公園野生生物局の考古学者ダン・ウィッター氏によって確認されました。

その後、浸食や洪水によって骨格が失われる恐れが出たため、メニンディー・アボリジニ長老評議会の要請を受け、研究者とバーキンジの管理者たちが協力して発掘と分析を実施。

骨の調査から、このディンゴはオスで、死亡時の年齢は4〜7歳ほどだったと推定されています。

歯は大きく摩耗しており、比較的長く生きていたことがうかがえます。

発掘調査の様子がこちら。

さらに興味深いのは、肋骨や脚に治癒した外傷の痕跡が見つかったことです。

研究者たちは、この傷が狩猟中にカンガルーに蹴られた場合と整合すると考えています。

しかし、傷は治っていました。

つまりこのディンゴは、ケガをした直後に死んだのではなく、負傷後もしばらく生き延びていたのです。

この点からチームは、バーキンジの祖先がこのディンゴを世話し、回復を助けた可能性を指摘しています。

野生の犬がただ人里近くにいたのではなく、人々と共に暮らし、共同体の一員として扱われていた姿が見えてきます。

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