キンメモドキの光る力は「自分では作っていなかった」
キンメモドキは、日本の太平洋沿岸などに生息する体長7センチほどの小型魚です。(画像はこちら。※プレスリリース)
一見すると普通の群泳魚ですが、薄暗い環境では腹側が青色に発光します。
この発光は、海中で自分の影を消すために使われていると考えられています。
海では、月明かりのような弱い光でも魚の体に影ができます。
下から見上げる捕食者にとって、その影は格好の目印になります。
そこでキンメモドキは腹側を光らせ、下から見たときに自分の影を目立ちにくくしていると考えられているのです。
しかし、この魚の本当の奇妙さは「どうやって光るのか」にありました。
キンメモドキの発光では、「ルシフェラーゼ」という発光酵素が重要な役割を果たします。
普通なら、その酵素を作る遺伝子を自分のDNAに持っています。
ところがキンメモドキは、餌として食べるウミホタル類からルシフェラーゼを取り込み、そのまま利用している可能性が以前から示唆されていました。
研究チームはこれを「盗タンパク質(kleptoprotein)」と呼んでいます。
ただし、これまでは完全な証明には至っていませんでした。
もしかすると、キンメモドキ自身のゲノムのどこかに、まだ発見されていない発光遺伝子が存在する可能性もあったからです。
そこで今回、研究チームは最新のロングリードシーケンス技術を使用し、キンメモドキの全ゲノム約6.25億塩基対を高精度で解読しました。
さらに研究チームは、完成したゲノム配列だけでなく、遺伝子の候補リストや、ゲノムを組み立てる前の生データまで調べ、ウミホタル型ルシフェラーゼ遺伝子を探しました。
その結果、キンメモドキのゲノム中からは、ウミホタル類のルシフェラーゼ遺伝子は検出されませんでした。
加えて研究チームは、「遺伝子水平伝播」の可能性も調査しています。
これは、他生物の遺伝子そのものを取り込む現象です。
しかし、その痕跡も確認されませんでした。
つまりキンメモドキは、発光酵素の“設計図”を取り込んだのではなく、餌から得た“完成済みタンパク質そのもの”を発光に使っていることになります。
そして、この異様な仕組みの本当の凄さは、「消化されないこと」にあります。
(次項では発光するキンメモドキの動画が確認できます)



























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