なぜ「建物の中」に電気をためたいのか

研究チームが思い描いているのは、建物の近くで太陽光パネルなどがつくった電気を、その建物の中にためておく未来です。
そうした電気をためる場所としてまず思い浮かぶのは、屋上や機械室に置かれたかさばる電池でしょう。
もし建物をつくるセメントそのものが電気をためられれば、電気をつくる場所とためる場所と使う場所が、すべて同じ建物の中におさまります。
そこで使われたのが「スーパーキャパシタ」と呼ばれる蓄電器です。
スーパーキャパシタがためられるエネルギーは比較的少ないものの、電気をすばやく取り込み、すばやく放出できるのが特徴です。
しかも種類によっては、充電と放電を数百万回もくり返せるとされています。
Zhong氏は「再生可能エネルギーで十分ひんぱんに充電できれば、充電と放電のくり返しによって、エネルギー需要の一部をまかなえるかもしれない」と述べています。
とはいえ、セメントで蓄電器をつくるのは簡単ではありません。
論文によると、形を工夫したセメントの蓄電器を大きな規模で作ることは、これまで難しいとされてきました。
壁となっていたのは主に2つの問題です。
1つ目は、電気をためる「電極」と、電極どうしを隔てる「セパレーター」のつなぎ目が、力に弱いことでした。
2つ目は、電気を運ぶイオンが材料の厚みの方向に長い距離を移動しなければならず、効率が悪いことでした。
つまり、厚みが増すほどイオンの道のりが長くなり、蓄電器としての性能が落ちやすくなるのです。
建物の材料としての強さを持たせつつ、イオンをすばやく行き来させるには、どうすればよいのでしょうか。
以前ナゾロジーではこういう記事も紹介しています(【木のように生きる建物】CO2を吸収・貯蔵する「建築材料」を開発)




















