11本の指でピアノ演奏するのに大切なのは演奏経験よりも運動神経
実験中、参加者たちにはピアノ演奏に関する8つのタスクが与えられました。
その結果、経験者も未経験者も1時間以内に第3の親指に順応し、タスクをすべて遂行できました。
ファイサル氏は次のように述べています。
「驚いたことに、ピアノ演奏経験の有無は、11本の指でどれだけうまく弾けるかにあまり関係しないと分かりました。
むしろ、体を動かして制御する能力、器用さ、俊敏性の方が役立ったようです」
つまり新しく追加されたロボット指に順応しやすいかどうかは、タスクの経験ではなく、その人の運動神経に左右されるというのです。
そして参加した皆が1時間以内に順応できたことを考えると、ほとんどの人が、これまでの仕事や作業の経験に関係なく追加のロボット指を使いこなせると言えるでしょう。
今後チームは、脳で直接操作できるロボット指の実験を検討しています。
将来、追加した腕や指で作業効率をアップさせることが普通になるかもしれませんね。
とはいえ2021年5月の研究では、「第3の指の使用が、指の神経表現に関する脳活動を委縮させる」という結果も出ています。
やはり人間は、新しい指や腕に順応しやすいようです。
しかし、その順応が必ずしもメリットだけを生むとは限らないため、実用化には慎重さが求められるでしょう。