新しい地下資源の採掘
2006年頃からシェールオイルやシェールガスという単語を、ニュースでよく耳にするようになりました。
シェールは、日本語では頁岩(けつがん)と呼ばれていて、薄片に剥がれやすい性質を持つ泥が固まってできた岩石のことです。
この岩石の層をシェール層と呼び、シェールオイル(ガス)は、このシェール層から回収された地下資源の呼び名です。
「シェール層」からの掘削は、それまで技術的に困難とされていましたが、これを掘削する技術が確立されたことで、一気に世界経済から脚光を浴びるようになり、ニュースでも頻繁に耳にするようになったのです。
このことは「シェール革命」という呼び名で耳にした人も多いでしょう。
その新しい掘削法に含まれる重要な技術の1つが、「水圧破砕法」と呼ばれるものです。
水圧破砕法では、シェール層まで数千メートル深さの坑井(こうせい:いわゆる井戸)を掘り、そこから今度は横に数千メートルもシェール層を貫く水平坑井を彫ります。
そして、その名の通り、大量の水を流し込むことで、水圧よってシェール層に人工的な亀裂を作り出し、これまでとは異なる場所に閉じ込められているガスやオイルを採掘します。
これは非常に画期的な技術でしたが、同時にさまざまな環境破壊を引き起こす問題のある技術でもありました。
それは水と一緒に浸透される化学物質による汚染から、あまりに大量の水を使うために起きる地域の水不足、騒音問題、そして地下深くに大量の水を圧入することで起きる地震発生の懸念です。
人為的な作用で地震が起きる、というのはこれまででは考えられないことでしたが、実際2018年には中国でシェールガスの採掘場近くで、M4.7以上の地震が頻発し、家屋の倒壊や2名の死者が出るという事態が発生しています。
これは水圧破砕によるものと認定され、採掘が中止されています。
シェール採掘が盛んな米国でも、似たような現象は数多く報告されています。
ただ、採掘場から数キロ離れた地域の地震をシェール採掘が引き起こすメカニズムはまだ分かっていないため、業者のほとんどはその責任を否定しています。
しかし、今回の新しい研究は、水圧破砕などの人為的な地層への干渉が、遠隔の地域の地震に関連づく新しい可能性を発見しました。
それは、これまでに見られなかった新しいタイプの地震にあるといいます。