実際の気温よりも親の歌声が優先される
今回の研究によって、自然界では、音でミトコンドリアの性能を調節することが可能ということが示されました。
親鳥は卵のために歌い、卵の暑さに対する耐性をうまれる前から上げていたのです。
また追加の実験により、暑くない環境で卵に親鳥の「ヒートコール」を聞かせても、生まれてきたヒナのミトコンドリアが同様に、熱生産よりもエネルギー備蓄を重視するように変化していると確認されました。
この結果は、ヒナのミトコンドリアが実際の環境(温度)よりも、親鳥の声に強く影響されることを示します。
ただ現在のところ、特定の音(ヒートコール)がどのようにしてミトコンドリアの性能を調節しているかは不明です。
研究者たちは音とミトコンドリアの関係を調べることで、温暖化する地球において鳥たちの耐熱性を増加させることができると考えています。
また同様の仕組みを人間に組み込むことができたならば、外部からの音によって発熱量やエネルギー備蓄量を調節し、寒さに強くなったり、高い運動能力を得ることが可能になるかもしません。