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ネコが祖先から受け継いだ「水を嫌うワケ」とは (2/5)

2022.08.02 Tuesday

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イエネコの身体的特徴

リビアヤマネコを祖先に持つイエネコには、身体的特徴にもを嫌う要因が受け継がれています。

ここからはそんな身体的特徴について1つずつ説明していきましょう。

①高体温

日向ぼっこするネコ
日向ぼっこするネコ / credit:pixabay

これはイエネコに限った話ではありませんが、ネコの平熱は人間よりも高く38℃台だと言われています。

捕食動物であるネコは筋肉量や運動量が多いため、体温が高いのですが、体が冷えると代謝が下がってどうしても動きが鈍くなります。

ネコが温かい場所を好み、よく日光浴などをしているのはこのことが理由です。

それに対し、水に濡れるということは、体温を下げることにつながります。

体温が下がって動きづらくなるのと、ネコは獲物をとることができません。これはネコにとっては死活問題ですから、水に濡れるのを嫌がるのも納得ですね。

②毛皮の性質

ネコの顔のアップ
ネコの顔のアップ / credit:pixabay

たとえばイヌなどの場合、ぶるぶるっと体を震わせて、濡れた体から水気を飛ばしているのを見たことはありませんか?

しかしネコの場合、こういった様子はあまり見られません。

これはイヌとネコで皮の性質が違うことが理由です。イヌの毛にはある程度の撥水性があるので、水をはじき体を震わせるだけで水気を飛ばすことができますが、ネコの毛はウール製品のように水を吸い込み、重くなります。

そもそもネコの毛皮は以下の2~3層の構造を持っています。

  • アンダーコート:短く、細かい髪を持つ内側の層。体の熱を保つ役割がある
  • ガードヘア:一番外側の層の長い毛でアンダーコートを保護する役割がある
  • オーンヘア:アンダーコートより長く、ガードヘアより短い毛。保護と断熱両方の役割をもつ

このうち、ガードヘアとオーンヘアにはいくらか撥水性があるものの、イヌの毛よりは脂が少なく水をはじきません。

さらにアンダーコートは全く撥水性がなく、水に濡れるとすぐに体温が下がってしまいます。

また、ネコには長毛種、短毛種がいますが、水に浸かった場合を想定すると長毛種は濡れた毛が重くなって溺れる可能性があり、短毛種は毛が短い分断熱性がないためどんどん体温が下がってしまいます。

つまり、どちらも水に浸かることは命に関わる危険性を持つわけです。そう考えるとネコが水を嫌がるのも当然な気がしますね。

③臭いの変化に敏感

ネコの鼻のアップ
ネコの鼻のアップ / credit: pixabay

鼻が良いのはイヌというイメージを持つ人が多いと思いますが、実はネコも犬ほどではないにせよ、人間の20万倍以上の嗅覚を持つと言われています。

ネコは獲物を見つけたり、縄張りを確認したりするのに、主として嗅覚を用います。

また、ネコは鼻だけでなく上顎の奥に「ヤコプソン器官」という部分があり、そこからも臭いを検知しています。ネコが臭いものを嗅いだときに口を半開きにする「フレーメン反応」はこの器官がフェロモンに似た臭いを感知したときに起こるものです。

このように嗅覚が非常に発達しているネコですが、それが水嫌いとどのように関係するのでしょうか?

実は、水には様々な化学物質が溶け込んでいます。程度に多少の差はあるでしょうが、多くの人が水道水に塩素の臭いを感じたことがあるでしょう。

人にとっては気にならない程度の香りでも嗅覚の鋭いネコにとっては非常に不快に感じるのです。

さらに、ネコは縄張りのアピールでも体を擦りつけて自分の臭いをつけるなど自分自身の臭いをとても大切にしています。

このため、水によって自分の臭いが洗い流されてしまうこともまた、ネコにとっては不愉快極まりないことなのです。

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