2021年の「話題になった科学ニュース解説4コマ」ベスト5!
第5位:練習中ではなく「頻繁な休憩」がスキルを上達させると判明
第5位は、練習と上達の関係を科学的に調べた研究です。
研究では、上達は練習中ではなく休憩中になってはじめて起こるという研究結果が報告されました。
そういえば、練習している最中はちっとも上手くならないのに、少し間をおいたらデキるようになっていることって、よくありますよね。
また休憩中の脳内では無意識に、練習内容が通常の20倍の速さで高速再生されていることが判明。
さらに休憩中の無意識で起こる高速再生が起きやすい人ほど、上達しやすいことも判明します。
効率的に上達したければ、練習だけでなく休憩もこまめにとったほうがよさそうです。
なおこの4コマを含むツイートはナゾロジーにとって、初の1000万回を超えるインプレッション数(見られた回数)となりました。
元記事とツイッターへのリンクはこちらになります。
練習中ではなく「頻繁な休憩」がスキルを上達させると判明https://t.co/OjLinSLmKA
スキルの上達には休憩も必要です。米NINDSの研究により、休憩中に脳は練習内容を20倍の速度で何度も再生していると判明。素早い上達を目指すなら適度な休憩が大事なんですね。 pic.twitter.com/E7MTax44bl
— ナゾロジー@科学ニュースメディア (@NazologyInfo) June 16, 2021
第4位:ビッグサンダーマウンテンに腎臓結石を排出させる効果があると明らかに
第4位は2018年にイグノーベル賞をとった研究を4コマ化したものです。
研究では激痛を発すると噂されている結石を腎臓モデルに入れて、ビッグサンダーマウンテンにのべ60回乗ると、64%も排出されると報告しています。
未来ではジェットコースターが結石除去の処方せんとして追加されるかもしれません。
なおジェットコースターの後ろに乗ると、最も効果が高いようです。
元記事とツイッターへのリンクはこちらになります。
ビッグサンダーマウンテンに腎臓結石を排出させる効果があると明らかにhttps://t.co/qiUrjBwNIy
驚きです。ジェットコースターが腎臓結石の排出に効果があるという研究が発表されています。さらにミシガン州立大によると後部座席のほうが効果が大きかったそう。結石患者には夢のある処方がされるかも pic.twitter.com/kHkrz08pwS
— ナゾロジー@科学ニュースメディア (@NazologyInfo) June 22, 2021
第3位:子どもを虐待するときだけ活性化する「脳の虐待回路」が見つかる
第3位は子供を虐待するマウスの研究です。
マウスには母親による子殺しの習性をはじめ、オスによる他人の子供の殺害も起こることが知られています。
そこで研究者がマウスの脳を調べたところ、子供の虐待をするときだけ活性化する脳回路「虐待回路」を発見。
マウスの頭蓋骨に穴をあけて虐待回路を活性化すると子供に対する虐待が起こり、逆に抑制すると虐待がとまりました。
どうやら子供の虐待という特殊な行動を起こすために、脳には独自の回路が存在するようです。
もしかしたら人間にも、同じような虐待回路があるかもしれません。
元記事とツイッターへのリンクはこちらになります。
子どもを虐待するときだけ活性化する「脳の虐待回路」が見つかるhttps://t.co/3u2FkSHJyW
ハーバード大はマウスの脳には乳児虐待を受け持つ専門的な神経回路(虐待回路)が存在すると発表。回路を活性化すると虐待が始まり、さらに抑制すると虐待が終わる様子まで確認されました。 pic.twitter.com/abqo3BnLMp
— ナゾロジー@科学ニュースメディア (@NazologyInfo) September 29, 2021
第2位:「半殺し」にしたがん細胞を体に戻すと免疫療法が上手くいくと判明!
第2位は、がん治療に希望が持てる話題です。
がん細胞のDNAをズタズタにして半殺しの状態にすると、自死を誘引する信号を発することがわかりました。
細胞にはもともと異常を起こすと自分を殺してもらうための信号(介錯信号)を出す仕組みがありますが、がん細胞にも同じ仕組みが残っていたようです。
研究者たちはこの仕組みを利用し、半殺しにしたがん細胞を腫瘍に戻しました。
すると免疫細胞は半殺しにされたがん細胞と一緒に周りの腫瘍細胞を殺しはじめ、結果として40%のマウスにおいてがんを消滅させることに成功します。
がん細胞は免疫から隠れる能力がありますが、半殺しにされたがん細胞の発する介錯信号のお陰で免疫は腫瘍を発見・攻撃できるようになったようです。
元記事とツイッターへのリンクはこちらになります。
「半殺し」にしたがん細胞を体に戻すと免疫療法が上手くいくと判明!https://t.co/CO9VmVlKFQ
MITは切り取ったがん細胞のDNAを損傷させると本来正常な細胞が持つアポトーシスを発することを発見。腫瘍に戻すことで自ら免疫システムに殺されるよう働きかけ免疫療法の効果を大幅に上昇させました。 pic.twitter.com/hzCXNE71b2
— ナゾロジー@科学ニュースメディア (@NazologyInfo) October 25, 2021
第1位:人から排出される抗うつ薬が「ザリガニを恐れ知らずにさせる」と明らかに
第1位は「もうなにもこわくないザリガニ」です。
人間に処方される抗うつ薬は体から排出されると下水を通って浄水施設にたどりつきますが、浄水施設は抗うつ薬を除去するようには作られていません。
そのため膨大な量の抗うつ薬が人間の体から川へと流れ込み、ザリガニを恐れ知れずにしていることが報告されました。
問題は、抗うつ薬の影響を受けているのがザリガニだけではなく、川に住むあらゆる生物に及んでいる可能性がある点にあります。
元記事とツイッターへのリンクはこちらになります。
人から排出される抗うつ薬が「ザリガニを恐れ知らずにさせる」と明らかにhttps://t.co/cTvGaDN0Z4
抗うつ薬はザリガニにも効きました。人体で吸収しきれなかった薬の成分は尿で河川に流れ込みます。フロリダ大の実験によりそれを吸収したザリガニがエサに貪欲になるなど大胆化していると分かりました pic.twitter.com/43KgYKHi0M
— ナゾロジー@科学ニュースメディア (@NazologyInfo) June 17, 2021
なお「もうなにもこわくないザリガニ」は別のニュースにも友情出演しています。
覚せい剤は魚も「ヤク漬け」にすると明らかにhttps://t.co/xtu2qloDYG
覚せい剤の禁断症状が魚にも見られました。チェコ生命科学大によると、覚せい剤入りの水槽で2ヶ月間飼育した魚はキレイな水に移すとストレスを感じるそう。さらに覚せい剤の有無を区分けする水槽では「有」の方を選びました。 pic.twitter.com/N8LFyC00de
— ナゾロジー@科学ニュースメディア (@NazologyInfo) July 8, 2021
特別編:メスと体を縫い合わせ「子宮移植されたオスマウス」が出産成功!「マウス誕生編」
特別編はナゾロジーのマウスの起源に迫る4コマになります。
たびたび4コマに登場するマウスですが、本格的に活動をはじめたのは、こちらの4コマからだったのです。
登場したころは「ニコイチマウス」と呼ばれていた時期もありました。
研究ではまず、オスとメスのマウスの体を縫い合わせ、オスにメスの子宮の片方を移植します(※マウスは子宮が2本あります)。
そして受精卵をメスとオスの両方の子宮に入れると、両方で成長して赤ちゃんマウスを誕生させることに成功しました。
妊娠中のメスの血液がオスに流れ込むことで、オスの子宮でも赤ちゃんマウスを育てることが可能になったようです。
オスでも子宮と適切な血液成分があれば、出産できることが示されたのは衝撃的と言えるでしょう。
ただこの研究は欧米を中心に、倫理的な問題があるとする声があがっているとのこと。
2匹のマウスを縫い合わせる「血液共有」はマウスを用いた動物実験よく行われている手法ですが、単純にオスに出産させる手段として使うことに抵抗がある人も多いようです。
元記事とツイッターへのリンクはこちらになります。
メスと体を縫い合わせ「子宮移植されたオスマウス」が出産成功https://t.co/JfrGhbzUm5
恐ろしい。「子宮」と「妊娠中のメスの血液」があればオスでも子を産めるとの論文が公開されました。子宮だけでは出産に必要な血中ホルモンが補えないので、妊娠したメスマウスと体をつなげ血液を共有したそう。 pic.twitter.com/kHTrfFpWWM
— ナゾロジー@科学ニュースメディア (@NazologyInfo) June 18, 2021