ブラックホールのミッシングリンク
ブラックホールは、基本的に太陽よりずっと重い恒星が死んだときに形成されます。
そのため、誕生したばかりのブラックホールは太陽の数十倍程度の質量となり、これまでで最大の恒星ブラックホールでも太陽の100倍ほどです。
一方、銀河の中心には、太陽の数百万倍以上の質量を持つ超大質量ブラックホールが存在します。
こうした巨大なブラックホールは、普通に考えれば、恒星ブラックホールがどんどん融合して形成されたものと予想できます。
そうなると、宇宙には太陽の数百倍から数十万倍というサイズの中間質量ブラックホールもたくさん存在するはずです。
ところが、そんなサイズのブラックホールは、なぜがほとんど見つかっていません。
中間質量ブラックホールは、球状星団という比較的小さな星の集団の中心になっているという説もあります。
しかし、最近の観測では「球状星団には恒星ブラックホールの群れがあるだけだった」と報告されており、決定的な存在の証拠は見つかっていません。
中間質量ブラックホールの初めての発見が報告されたのは2012年のこと。
しかし、研究を進めるにはあまりに少なすぎるため、天文学者たちは今もこの珍しいブラックホールを探し求めています。
そんな珍しい中間質量ブラックホールを本研究チームはついに、アンドロメダ銀河にある星団「B023-G078」の中から検出したと発表したのです。
「B023-G078」は以前から知られている天体でしたが、ある理由から見過ごされていました。
実はこの星団、ずっと天文学者たちは球状星団だと考えていたのですが、今回の研究では「B023-G078」が実は低質量の銀河だったと明らかにしたのです。