球状星団とブラックホールのミッシングリンク
球状星団(globular cluster)とは、非常に高密度の恒星系のことをいいます。
この球状星団は、銀河系の円盤の周りに多く存在していて、天の川銀河の周りでもたくさん見つかっています。
銀河を映した画像の周りには、よく大きく明るい光の点が映っていますが、あれは非常に巨大な星があるわけではなく、大量の星が密集した球状星団なのです。
今回研究対象となったのは、地球から約7800光年離れた「NGC6397」と呼ばれる球状星団で、地球にもっとも近い星団の1つです。
「NGC6397」は134億年前のものだと推定されていて、ビッグバンの間もない時期に形成されたほとんど宇宙と同じ年齢の非常に古い天体です。
銀河の中心には太陽の数百万倍から数十億倍という超大質量ブラックホールが存在していて、その重力によって星の集団を作り出しています。
同様に球状星団は、それよりも軽い太陽の数百倍から数万倍という重さの中間質量ブラックホール(IMBH)が存在していて、それが核となって星を集めていると考えられていました。
ただ、これは予想に過ぎず、実際に確認されている事実ではありません。
特に中間質量ブラックホールと呼ばれる天体は、まだ直接発見されたことのない予測上の存在です。
宇宙では太陽質量の数倍から数十倍という恒星質量ブラックホールと、銀河の核となる超大質量ブラックホールは見つかっていますが、その間に存在するはずの中間質量ブラックホールというものは見つかっていないのです。
IMBHはいわばブラックホールのミッシングリンクと呼ぶべき存在なのです。
そのため、今回の研究チームも、中間質量ブラックホールを見つけることを期待して球状星団の研究を行っていました。
しかし、そこに見つかったのは期待したものではなく、小さなブラックホールの群れがあるという証拠だったのです。