ゴルフそっくりの古代中国のゲーム「チュイワン」
同学院は、中国西部・河南省の平頂山市(へいちょうざんし)にあります。
ここで陶磁器のコレクションを整理していたところ、セラミック球やそれを作るための型、半分だけ完成した球などが1000個以上見つかりました。
これは「チュイワン(捶丸・Chuiwan)」と呼ばれるゲームの道具で、ルールやプレイ方法の近似性から”古代中国のゴルフ”として広く知られています。
主にエリート層たちの遊びで、庭先をフィールドに、専用の棒でボールを打って穴に入れるというものでした。
いわば、パターゴルフのようなものでしょうか。
発見されたボールは直径5センチほどで、陶器や磁器からなり、現在のゴルフボールと同じようなディンプル(窪み)もついていました。
こちらの手前がチュイワンのボールで、奥が現代のゴルフボールです。
ゴルフボールには1個につき300~400のディンプルがあり、これが揚力と抗力を生み、ボールの軌道や飛距離にプラスの影響を与えます。
ゴルフボールに比べるとずっと数は少ないチュイワンのディンプルですが、これについて専門家は「地面に対するトラクション(滑らずに引っ張る力)を高めるためのもの」と指摘します。
これにより、プレーヤーは地面のラインに応じて、ボールをうまくカーブさせられたようです。
チュイワンのボールは唐の時代(618〜907年)まで遡り、つづく宋(〜1279年)、元(〜1368年)に1800個以上のボールが作られたとされています。
のちの明や清の時代にもチュイワンは人気の娯楽だったようです。
今回の発見について、国家体育総局のCui Lequan氏は「これほど多くの球が見つかったのは初めてで、球技の起源と発展の研究に重要な参考資料を提供するもの」と指摘。
続けて、「平頂山は洛陽と開封の2つの古都の間にあり、古代中国で磁器手工業が高度に発達した地域だったことから、球の一大生産地であった可能性が高い」と述べています。
ちなみに、記録から推測されるチュイワンはこんな感じだったようです。