作り物みたいな実際の宇宙の景色
深淵宇宙気候観測衛星「DSCOVR(ディスカバー)」は太陽風の観測を主任務とした、宇宙の天気を監視する人工衛星です。
これは月軌道よりさらに外側にある、地球から約150万km離れた「太陽ー地球ラグランジュ点L1」に浮かんでいます。
ラグランジュ点とは、天体間の重力が安定したポイントのことで、定点のように地球との距離を一定に保ち続けることができます。
ガンダムなどに登場するコロニーは、こうしたラグランジュ点に設置されているという設定なので、地球が太陽の周りを公転していても、常に地球との距離は一定なわけです。
衛星の観測目標は、地球に迫ってくる太陽風をいち早く察知して観測することですが、ここに搭載されたNASAの地球多色撮像カメラ「EPIC」は、地球上の気候観測のために、地球側を向いて撮影をしています。
この4メガピクセルのCCDカメラは、毎日太陽に照らされた地球の面を13~22枚撮影しています。
そしてこの撮影の中で、年に2回、月が地球の前を横切ります。
このとき、普段地球上からでは見えない月の裏側が太陽に照らされた、珍しい月の姿が撮影できるのです。
これは2015年7月16日に撮影されたもので、北アメリカ近くの太平洋上と地球の前を横切る月の姿が写っています。
まるで作り物のように見えますが、これは実際に宇宙から見ている光景です。
カメラの露光時間は短いため、背景に浮かぶ星の姿は写っていませんが、太陽に照らし出された珍しい月の裏側が見えます。
これを見る限り、どうやら月の裏側に宇宙人の基地はないようです。
DSCOVRは現在も毎日地球を撮影していて、その写真はこちらからアクセスして見ることができます。
年2回のちょうど良いタイミングで覗けば、今回のような地球を横切る月の姿の最新版の画像が見られるでしょう。