AI合成顔の方が本物より信頼性が高い
研究チームは、AIによって生成された顔が、どれほど人をだませるのか調査することにしました。
そのために、まずアメリカの半導体メーカー「NVIDIA」のAIを用いて、400人の合成顔を作成。
これらの合成顔は、男性と女性の2つの性別、また黒人、白人、東アジア人、南アジア人からなる4つの人種に分類されていました。
そしてここに本物の顔を追加し、本物と偽物が入り混じった800のサンプルを用意しました。
最初の実験では、315人の参加者に800のサンプルのうち128の顔画像を見てもらい、それぞれが本物か偽物か判断してもらいました。
その結果、正解率は48.2%でした。
2択の問題で正解率が半分以下ということは、真偽の判別が非常に難しく、むしろ「合成顔の方が本物っぽい」とさえ言えるでしょう。
2つ目の実験では、参加者にいくつかの判別するための手がかりが与えられました。
画像を評価する前にAIによって生成された顔の特徴をレクチャーしたのです。
その結果、正解率は59%になりました。
判別のレクチャーがあっても正解率は少ししか上昇しなかったのです。
3つ目の実験では、参加者に128の顔画像を、どれほど信頼できると思うか、7段階で評価してもらいました。
その結果、「AI合成顔の方が本物よりも平均7.7%信頼度が高い」という結果になったようです。
研究チームは、「合成顔の方が信頼されるのは、AIが平均的な顔にもとづいて生成するため」だと考えています。
「特徴を持った本物の顔」よりも「偽物の平均的な顔」の方が信頼されやすい、ということでしょう。
さて今回の結果をまとめると、「私たち人間は、本物よりもAI合成顔の方を信頼する傾向にあり、よりリアルに感じる」と言えます。
では、これほどのAI合成技術は、現在どのように悪用されているのでしょうか?