古代ギリシア最強の部隊が「同性愛カップル」で編成されていた
古代ギリシア最強の部隊が「同性愛カップル」で編成されていた / Credit: en.wikipedia
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古代ギリシア最強部隊「テーバイ神聖隊」は同性愛カップルで編成された”愛の300〈スリーハンドレッド〉”だった (3/3)

2022.03.08 Tuesday

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神聖隊が散った日:敵将の心も動かした最後の戦い

その後、ギリシアの覇権を握ったテーバイは、紀元前338年に北のマケドニア王国と運命の一戦を迎えます。

この頃、ギリシアの都市国家は長きにわたる戦乱で疲弊し、ピリッポス2世(アレキサンダー大王の父親)率いるマケドニアの格好のターゲットとなっていました。

しかも、ピリッポス2世は若い頃に3年間、テーバイの人質として過ごし、神聖隊の活躍や斜線陣(ロクセ・ファランクス)の戦術を目に焼き付けていたのです。

そして彼がマケドニアの王座に就くや、神聖隊をモデルにして軍隊の強化を図りました。

ファランクス戦術を取り入れるだけでなく、槍をサリッサ(sarissa)というリーチの長い矛に変え、さらに剣や鎧、兜(かぶと)にいたるまで、あらゆる武具を改良。

テーバイの神聖隊をはるかに凌ぐ最強の軍隊が誕生したのです。

サリッサを持つマケドニア式ファランクス
サリッサを持つマケドニア式ファランクス / Credit: ja.wikipedia

紀元前338年8月、テーバイとアテナイの同盟軍は、ボイオチア地方にてマケドニア軍を迎え打ちました。

これが「カイロネイアの戦い」です。

同盟軍の兵力が、神聖隊を含む1万の歩兵と600の騎兵なのに対し、マケドニア軍は3万の歩兵と3000の騎兵と、圧倒的な差がありました。

加えて、マケドニアはテーバイの戦術を知り尽くしており、ファランクスも通用しません。

こうして、同盟軍はなすすべなく、強大なマケドニア軍に叩き潰されてしまいました。

しかし、多くの歩兵が敗走する中、テーバイの神聖隊は誰一人逃げることなく、最後まで戦い抜いたのです。

愛する人を守るため、その場を去るという選択肢はなかったのでしょう。

結果、神聖隊は壊滅的なダメージを受け、300人中、なんと254人が戦死。

その勇姿を目の当たりにしたピリッポス2世は、神聖隊の愛と勇気に激しく胸打たれ、彼らの亡骸を前に涙し、讃え、弔ったと言われています。

神聖隊の勇姿に敵将のピリッポス2世の心も動いた
神聖隊の勇姿に敵将のピリッポス2世の心も動いた / Credit: Invicta/youtube(2020)

神聖隊は戦場に埋葬され、地の上に「カイロネイアのライオン(The Lion of Chaeronea)」と呼ばれる記念碑が建てられました。

19世紀に行われた発掘調査では、7列に並べられた254体の遺骨が発見され、これが神聖隊の亡骸であることが判明しています。

この戦いの後、再び神聖隊が結成されることはありませんでした。

しかし、彼らの愛と勇気の物語は、歴史の偉大な1ページとして人々に記憶され続けるでしょう。

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