動物の協力行動の起源はどこにあるのか?
なぜ血縁関係にないオス同士の協力がベニガオザルでみられるのか?
謎を解明するために研究者たちは複数の群れの子ザルの遺伝子を調べました。
すると血縁関係にないオス同士で協力がみられる群れでは、オスの交尾機会が比較的均等に分配されており、うまれた子ザルもさまざまなオスの遺伝子を引き継いでいることが判明しました。
逆に、協力が見られない群れでは、一匹のオスがメスの8割近くを独占したハーレムだったのです。
これはハーレムパーティーでは、男同士は協力しないと考えると、なんとなく納得できるかもしれません。
また、交尾機会が均等に分割されたグループでは、その後の獲得父性も分配され、群れに遺伝的多様性が保たれることも判明します。
つまりベニガオザルたちは、互いにメスを共有するために、協力関係を気づくことに成功していたのです。
人間はもっと高度な社会的利益達成のために、血縁関係によらない協力行動を取ることができます。
しかし、多くの動物が行わないこの協力行動の起源がなんであったかは詳しくわかっていません。
現在の人類とサルの協力行動をそのままイコールで結びつけるのは困難ですが、人間社会でみられる血縁によらない協力関係の起源を、ベニガオザルの行動から垣間見ることができるかもしれません。
本記事において研究紹介の表現として不適切と判断される部分を修正しました。