限りなくオリジナルに近い別の種
なぜ復元率は95%で頭打ちなのか?
答えは一般的なラットとクリスマス島のネズミの進化過程にありました。
遺伝分析により、一般的なラットとクリスマス島のネズミは260万年前に分岐したことが判明しています。
そのためラットと分岐した後の260万年の間に、クリスマス島のネズミが独自の変異を起こしていた場合、ラットのDNAを参考にした再配置は行き詰まってしまうのです。
ただ興味深いことに、欠落している5%の情報はランダムではなく嗅覚や免疫系の遺伝子に偏っていることが判明します。
新たな環境に適応すると感覚や免疫にかかわる遺伝子には大きな変化が起こることが知られています。
そのため遺伝操作によってラットをクリスマス島のネズミに変化させた場合、見た目や習性は同じでも、嗅覚と免疫能力についてはオリジナルと異なる種が誕生することになります。
研究者もこの点を認めており、遺伝子工学により復元された絶滅種はオリジナルとは異なる部分が出ると述べています。
参考とする種にラットではなく、より遺伝的に近いクマネズミを用いることで復元率を0.4%ほど上げることは可能ですが、いずれにせよ限界があるようです。
ですが商用利用には問題ないかもしれません。