ホーキング博士「受信はいいが、送信は危険すぎる」
地球外知的生命体探査(SETI)の科学者であるフランク・ドレイク(Frank Drake)氏は、アレシボ・メッセージのプロトタイプを設計した際、ノーベル賞受賞者数名を含む同僚にそのバイナリメッセージを送ったという。
ところが、わずか1人をのぞいて、誰もそのメッセージを解読できなかったのです。
このように、人類間でもうまく伝わらないメッセージが、地球外生命体に確実にメッセージが伝わるでしょうか?
また地球外生命体が”我々とは異なる感覚器官”で生活していた場合も、この計画は意味を持ちません。
たとえば、目がないか、あるいはコミュニケーションに視覚を必要としない生命体かもしれないのです。
しかし、最も深い問題は、本当にメッセージを送る必要があるのかという点でしょう。
これについては、イギリスの宇宙物理学者、スティーブン・ホーキング博士が、生前に指摘していました。
ホーキング博士は、宇宙人からの信号を受信する取り組みは支持したものの、こちらから積極的にメッセージを送ることには警告を発しています。
というのも、地球外生命体が私たちに対し、友好的でない可能性が大いにありうるからです。
もし、二足歩行の生き物を好物とする異星人に、地球のアドレスを教えてしまったらどうでしょう?
「私たちを食べに来て!」と言っているようなものです。
また、地球の歴史を振り返ってみても、文明レベルが異なる国家同士の接触は、ほとんどが不幸な結果しか生んでいません。
今回の計画は、インカ帝国が自ら「黄金がいっぱいあるよ」とスペイン人にメッセージを一生懸命送っているようなものかもしれないのです。
SF作品でも散々描かれていますが、人類より高度な異星文明には、地球がのっとられる危険もあります。
それでも、本プロジェクトの研究者は「私たちの問いかけが、平和の意思表示とともに行われるかぎり、宇宙人と接触する利点は、潜在的なリスクをはるかに上回るだろう」と述べています。
まとめ
研究チームは現在、BITGの送信を実現する天文台の選定を行なっています。
候補に挙がっているのは、米カリフォルニア州にある電波干渉計「アレン・テレスコープ・アレイ(ATA)」か、中国の「500メートル球面電波望遠鏡(FAST)」とのこと。
ただ今のところ、2つとも電波の受信はできても、メッセージを送る機能はないという。
また送信先は、天の川銀河の中心にある恒星の密集エリアを目指し、送信時期は、地球の位置が、太陽と送信先との間で90度の角度になる3月か10月を予定しているとのこと。
この時期であれば、メッセージが恒星の発するノイズに埋もれることもないといいます。
さて、この計画は実際に遂行されるのでしょうか? そしてエイリアンに届くことはあるのでしょうか?