人間に近い触覚をもつロボットアーム
人間に近い触覚をもつロボットアーム / Credit:Nathan F. Lepora(University of Bristol)_Touchy subject: 3D printed fingertip ‘feels’ like human skin(2022)
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「触覚を備えたロボットの手」を3Dプリントで作成 人工皮膚開発にも期待!

2022.04.08 Friday

ロボットを人間に近づけるための1つの条件は、触覚を与えることです。

イギリス・ブリストル大学(University of Bristol)工学部数学科に所属するネイサン・レポーラ氏ら研究チームは、人間の皮膚構造を再現したロボット指を開発しました。

そしてこの指は、人間と同じような触覚信号を生成できるのだとか。

これはロボットに感覚を与えるという研究ですが、結果は極めて本物に近い人工皮膚の開発にも役立つだろうと考えられます。

研究の詳細は、2022年4月6日付の科学誌『Journal of the Royal Society Interface』に掲載された2つの論文に記されています。

Touchy subject: 3D printed fingertip ‘feels’ like human skin https://www.eurekalert.org/news-releases/948292
Artificial SA-I, RA-I and RA-II/vibrotactile afferents for tactile sensing of texture https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsif.2021.0603 Artificial SA-I and RA-I afferents for tactile sensing of ridges and gratings https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsif.2021.0822

人間の複雑な皮膚構造が触覚を生み出す

人間のような触覚をロボットに与えるのは、簡単なことではありません。

そもそも多くの人は、触覚を説明すること自体、難しいと感じるでしょう。

人間の皮膚は繊細な触覚を生み出す
人間の皮膚は繊細な触覚を生み出す / Credit:Depositphotos

触覚は、物をつかんだりざらざらとした荒い表面をなぞったりするときに、脳で感じる独特の感覚です。

熱さや痛みといった痛覚とは異なり、「何かを触っている感覚」を生み出すものです。

では、この説明するのも難しい曖昧な感覚「触覚」は、どうすればロボットに与えることができるでしょうか?

答えは、人間の「触覚を生み出す構造」を複製し、そのままロボットに内蔵すればよいのです。

では、どの部分を模倣すれば、触覚を再現できるのでしょうか?

凹凸部分が真皮乳頭層
凹凸部分が真皮乳頭層 / Credit:Depositphotos

研究者たちが注目してきたのは、「真皮乳頭(しんぴにゅうとう)層」と呼ばれる部分です。

私たちの皮膚は、外側の「表皮」と内側の「真皮」から成り立っています。

そして真皮と表皮の境目は凹凸上に波打っており、この部分が「真皮乳頭層」と呼ばれています。

これまでの研究では、この真皮乳頭層には感覚神経が備わっており、この部分を通して触覚信号が脳に伝わると分かっています。

つまり皮膚の内側にある無数の突出が、「触っている感覚」を敏感に受け取り、複雑な信号として脳に送っていたのです。

そこで研究チームは、この「真皮乳頭層」を模倣することで、人間のような触覚を再現しようとしました。

次ページ皮膚の凹凸「真皮乳頭層」を3Dプリントで再現したロボット指

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