1000年間、沿岸部に寄り付かなくなっていた
約3800年前、アタカマ砂漠の沿岸部に住んでいたのは、狩猟採集民のコミュニティでした。
今回の発掘調査では、津波で破壊されたと見られる石造りの建物が堆積物の下から出土しており、さらに、津波の引き潮で海側に倒壊した建物も見つかっています。
どれほどの人が被害を受けたかは定かでありませんが、災害後の遺物を調べてみると、同地には約1000年もの間、人々が寄り付かなくなっていたことが示されました。
サラザール氏によると、この地にはそれまで1万年近くも人々が住んでいたそうですが、当時の巨大地震は、彼らを内陸部へと移住させるのに十分なインパクトがあったのでしょう。
ゴフ氏は、次のように話します。
「地元住民には何も残されていませんでした。社会は大混乱に陥り、彼らは津波が及ばない内陸部へと移動していったようです。
人々が再び海岸に住むようになるには1000年以上かかっていますが、食料を海に頼っていたことを考えると、これは驚くべき長さです」
一方で、南太平洋に浮かぶ他の島々は、当時無人島であったため、地震や津波の人的な被害がなかったようです。
しかし現在は、これらの島々にも十分な人口があり、その多くは観光地にもなっています。
1960年のチリ地震でも、震源から遠く離れたハワイや日本にまで大きな被害が及んでいます。
今回発見された地震の正確な規模を推定するには、まだ調査が必要でしょうが、もしチリ地震以上の超巨大地震がこの地域から発生する可能性があるならば、日本を含め太平洋沿岸の地域は十分警戒しておく必要があるでしょう。
研究チームは、今回の発見について、「太平洋地域における地震と津波の危険性を理解し、次にこのような超巨大地震が発生したときに、その影響がどれ程になるかを知る上で、非常に重要な示唆を与えてくれる」と述べています。