魚の行動をみるだけで使われた薬物を判別できた
魚をクスリ漬けにすると何が起こるのか?
調査にあたってはまず、魚に対して複数の薬物が与えられ、行動パターンの変化をニューラルネットを用いて学習させました。
学習が終了すると研究者たちは次に、別に用意しておいたクスリ漬けにされた魚をニューラルネットに提示して、どの薬物が使われたかを予測させました。
結果、麻酔作用のあるケタミンとフェンサイクリジン(PCP)、中枢神経を覚せいさせるアレコリン、タバコにも含まれるニコチン、幻覚剤として知られるMDMA、大麻に含まれることが知られているTHCを与えられた魚を、高い精度で判別することに成功します。
特にケタミンによる行動変化は特徴的で、ニューラルネットの高度な判別能力に頼らなくても、クルクルと顕著な円形行動を引き起こすことが確認できました。
また行動パターンを比較したところ、幻覚剤として知られるLSDを投与された魚は、同じく幻覚剤の一種であるMDMAとよく似た行動パターンをしはじめることが判明します。
LSDはセロトニンを過剰放出させるる一方でMDMAはセロトニンの阻害を起こし、脳に対する異なる作用機序を持っています。
魚がこれら2種の薬物に似たような反応を示したという結果は非常に興味深いと言えるでしょう。
研究者たちは、これらの薬物は魚に対して人間と類似したサイケデリックな作用(幻覚など)をみせている可能性があると述べています。