地球上では珍しい炭素14の残量
放射性崩壊は量子力学的な現象で、その発生原理は確率に支配されています。
原子核には個性がなく年齢といった概念も存在しないため、同じ炭素14の原子核が複数あったとき、このうちのどれがいつ崩壊するかはまったくわかりません。
しかし必ず、ある一定期間の間に崩壊する原子の数は確率で決まっています。
さっき寿命が短いとか言っいたのに、年齢がないとはどういうことか? と思うかもしれませんが、炭素14のいわゆる寿命にあたるものが「半減期」と呼ばれるものです。
「半減期」とはある不安定な元素(放射性物質)の集まりにおいて、その半分が崩壊して、別の安定した原子に変わるまでの期間を表したものです。
ちょっと分かりづらい概念かもしれませんが、「半減期」という用語は、原発のニュースなどで聞き覚えのある人も多いでしょう。
これ聞いたとき「なんでそんな中途半端な表現をするんだろう?」と思った人もいるかもしれません。
そういう人はおそらく「半減期で半分になるなら、2倍の期間でなくなるんでしょ? それを言えばいいじゃない」と思ったかもしれません。
しかし、半減期を経て残った放射性物質は、次の半減期を経てさらに半分になるだけで全部が崩壊はしません。
ある放射性物質に対して言えることは「これだけの時間が経過したら、崩壊する確率が50%」というだけなのです。
そのため最終的に放射性物質の量については、アキレスと亀みたいな話になってしまいます。
そして炭素14の半減期は5730年です
そのため、例えばある化石に含まれる炭素14の量が、推定される濃度の4分の1しかなかった場合、それは化石の中に炭素14が取り込まれてから2回の半減期が過ぎたと判断することができるのです。
つまりこの化石の年代は(5730年*2=11460年)以上昔のものだと推定できます。
しかし、こういう方法で年代を特定しているとなると、精度について少し疑問を抱く人も出てくるでしょう。
確率とか言ってるし、本当に当てになるの? という疑問は当然のことかもしれません。
最後は、炭素14がどのように発生するものなのか? そしてこの測定の精度はどう理解すればいいのかについて説明します。