放射性炭素年代測定ってなに?
炭素で年代が測定できるというのはどういうことなのでしょうか?
炭素は地球上でありふれた元素のため、さまざまな物質中に多少なりとも含まれています。
植物は光合成のために二酸化炭素が必要であり、生き物はその植物を食べるため、体内に炭素を多く取り込んでいます。
こうした炭素は、土壌や化石などあらゆる場所に蓄積されていきます。
この炭素は同じ様に見えていくつかの種類が存在します。
そして、種類によって炭素の寿命や地球上に存在している割合が異なっているのです。
そのため、年代を調べたい物質の試料(サンプル)に含まれる寿命の短い炭素の数を調べることで、それがどれくらい時間が経過した物質なのか判断できるのです。
当然大昔の物質ならば、寿命の短い炭素の数は少ないし、最近のものなら寿命の短い炭素もたくさん含まれているということになります。
ここまで、ふわっとした言い方をしましたが、この寿命が短い炭素というのが「炭素14」です。
「炭素14」は炭素の放射性同位体と呼ばれていて、通常の炭素より原子核内の中性子数が多くなっています。
通常の炭素は、陽子6個、中性子6個の計12個の粒子で原子核が構成されていますが、炭素14は陽子6個、中性子8個の計14個の粒子で原子核が作られます。
では、中性子の数が多いというのはどういうことなのでしょうか?
原子の化学的性質は、原子核内にある陽子の数で決まっています。
そのため電荷を持たない粒子である中性子が増えても、原子は重くなるだけで化学的な性質が変わりません。
普通に二酸化炭素にもなるし、私たちの身体にも取り込まれていきます。
しかし重い原子は不安定なため、放射性崩壊を起こして余分な重さを捨て去ることで、もっと安定した物質へ変化しようとします。
炭素14に含まれる余分な中性子は、ベータ崩壊という現象を起こして電子やニュートリノを捨てることで陽子に変化します。
原子核内の陽子の数が増えるということは、その原子が別の原子に変化するということを意味します。
炭素の陽子は6個ですが、これが7個になると窒素になります。
こうして炭素14は窒素14に変わるのです。
つまり炭素14は死ぬわけではなくて、窒素14に転生するわけです。
そして興味深いのが、こうした原子の変換は、ある一定期間で必ず決まった確率で発生していくということなのです。
ここが放射性炭素年代測定法のミソとなる部分です。
次項でここについて説明していきましょう。