4月30日:水星とプレアデス星団が大接近
見どころレベル★★★
プレアデス星団は、すでに29日の時点で水星のすぐ右上に位置していますが、もっとも近づくのは30日。その間隔はたったの1.4°です。
また、水星の左上にある赤い星はおうし座の一等星、アルデバラン。
カメラを使えば、ヒヤデス星団のV字の形と水星、プレアデス星団が並んでいる様子を写真におさめられそうです。
双眼鏡や望遠鏡で観測するのがおすすめです。水星の動きとともに、数日に渡って観測したり、写真に撮影して経過を追ったりするのも面白いと思います。
こちらは2020年の4月2日頃、プレアデス星団と金星の接近を撮影したもの。これと近い感じに見えるかもしれません。
プレアデス星団のこぼれ話
さて、プレアデス星団は「すばる」とも呼ばれ、年齢の若い青白い星の集団です。約400光年ほどのところにあり、今から6000万年ほど前に生まれたとされています。
実際には100個以上の星が集まっているのですが、目で見えるのは5〜6個。いくつ見えるか、古代では視力検査に使われていたという話。
神話だとプレアデス星団はもともと、空を支える巨人アトラスの娘たち、プレアデス七姉妹だったと伝えられています。
プレアデス七姉妹は月の女神、アルテミスの侍女でしたが、オリオン座で知られる乱暴な狩人、オリオンに目をつけられ追い回されるようになってしまいます。
それを見て、あわれんだ大神ゼウスは彼女たちを天にあげ、これがプレアデス星団になったといわれます。
ただゼウスはかなり女好きで、それにまつわる「やらかした」神話がたくさんあります。単なる親切で七姉妹を助けたとは素直に受け入れにくいですけど……。
何か下心があったんじゃないでしょうか?
さておき、プレアデス星団のすぐそばにはゼウスが牛に変身した姿のおうし座があり、ちゃんと姉妹を守っているという話もあります。
そんなさまざまな神話のエピソードを想像しながら空を見れば、より観測を楽しめるでしょう。
ほかにも、神話にまつわる興味深い話があります。7つの星が見えるか挑戦してみても、6つしか見えない人が多いのではないでしょうか。筆者も視力は良いですが、6つが限界です。
元杉並区立科学教育センターの茨木孝雄氏によると、ギリシャ神話では、消えたのは姉妹のうちエレクトラで「息子が築いたトロイヤの町が滅ぶのを見て悲んだため、彗星となって消えた」という話や、消えたのは姉妹のうちのメローペで、神に逆らった人間を夫にしたことを恥じて去ったという「行方知れずのプレヤード伝説」があるそう。
そんな「プレアデス星団の7つあった星の1つが消えて6つになった話」は、なぜか世界各国にあるそうで、とても不思議ですね。