フクロウの耳には「スズメバチの羽音」と同じに聞こえている
ルッソ氏が、初めてオオホオヒゲコウモリの発する独特の羽音を聞いたのは、1998年にイタリア中部のラツィオ州でフィールドワークをしたときでした。
網目の柔らかいネットでコウモリを捕獲し、網から出そうとした際、「スズメバチの羽音にそっくりの音を出すことに気づいた」といいます。
それから2001年にかけて、野生のオオホオヒゲコウモリを捕獲・観察したところ、同じ「スズメバチの羽音」を出す多くの個体が確認されたのです。
ルッソ氏は「コウモリが天敵の捕食を避けるために、有毒なスズメバチの真似をしているのではないか」と考えました。
コウモリによる実際の擬態音がこちらです。
この仮説を検証するべく、ルッソ氏とUNINAの研究チームは、野生のオオホオヒゲコウモリの録音を開始。
それらのサンプルを、ヨーロッパ原産のモンスズメバチの羽音と比較しました。
その結果、機械を用いた音声プロファイリングでは、高い確率で2つの音源を区別できたものの、フクロウの可聴域に限定した場合、2つの音波は驚くほど似ていることがわかったのです。
つまり、フクロウの耳には、コウモリの出す音はスズメバチの羽音と同じに聞こえているのでしょう。
次にチームは、コウモリの擬態音とスズメバチの羽音を、メンフクロウとモリフクロウに聞かせる実験を行いました。
その効力やいかに?