聞いた名前と違うネコのモニターを長く見るという結果に
今回の実験は多頭飼育されているネコを対象とし、家庭で飼育されているネコとネコカフェのネコに分けて行われました。
ネコカフェのネコでは特に写真を見る時間について差が見られなかったものの、家庭で飼育されているネコについては「聞いた名前と違うネコのモニターを長く見る」という結果になりました。
つまり家庭で多頭飼育されているネコについては「名前の呼ばれたネコを認識している」ということになります。
論文内では特に触れられていませんが、同じように多頭飼育されているネコでも、家庭で飼われているネコとネコカフェのネコで結果に差が出たことも興味深いです。
もちろん、ネコカフェの場合一緒に暮らす個体数が多いことも影響しているのでしょうが、ネコは単に同居する個体ではなく「家族」と認識している個体の名前を覚えているのかもしれませんね。
同居するヒトに対してはどうなる?
同様の実験は同居するヒトに対しても行われました。
残念ながら、同居のヒトの名前に関しては一部のネコで認識しているに留まり、必ずしもすべてのネコが同居のヒトの名前を認識しているというわけではないようです。
ただし、同居のヒトの名前に対して反応を示した猫を分析した結果、モニターを見つめる時間の長さは飼育期間の長さや同居人数と相関が見られました。
飼育期間が長い場合はもちろんのこと、家族が多い場合などは誰に呼びかけているか明確にするために必然的に名前を聞く回数が増えていきます。
ネコは、日常生活を送る中で何度も繰り返し名前を聞くことで同居するヒトやネコの名前を覚えているのですね。
実験中、ネコらしいハプニングも
今回の研究では同居のネコに対する実験1と同居のヒトに対する実験2の2つの実験が行われましたが、被験者となった48匹のネコのうち、1匹は実験2に至る前に部屋から逃げ出してしまったのだそうです。
何ともネコらしい自由気ままなエピソードですが、ネコに対する研究の難しさを垣間見れる出来事でもあります。
この研究の論文中にも「ネコの研究はイヌよりも大幅に遅れを取っている」と言われていますが、ネコのこういった面が研究の進まない理由なのかもしれません。