遺伝する病を断ち切る方法
今回の研究により、マウスにおける後天的な糖尿病の遺伝の仕組みが解明され、同じ仕組みが人間でも働いている可能性が示されました。
糖尿病になった人間の女性やメスマウスでは卵子において遺伝子の封印を解除する役割を持つ遺伝子「Tet3」のプロ―モーター部位に封印が起きていました。
また封印の強化により、子マウスでは、インスリンの分泌に重要な役割を果たす遺伝子「グルコキナーゼ」の活性が封印されており、糖尿病にかかりやすくなっていました。
また追加の試験で、子マウスの遺伝子の主な封印が父親由来のDNAを中心に起きていることが示されます。
遺伝子の封印は卵子よりも精子で2倍起きやすくなっており、精子のDNAはメチル化された遺伝子の主な供給源になっていました。
そのため研究者たちは、女性が糖尿病の影響を受けた卵子を持っている場合、健康な男性の精子を使ったとしても子供は糖尿病になりやすくなると述べています。
研究者たちは今後、発見されたメカニズムが人間にどのように関連しているかを詳細に調べていくとのこと。
本研究では封印解除遺伝子「Tet3」から作られたmRNAを胚に注入すると高血糖の影響が防がれることも示されています。
そのため将来的には糖尿病の女性でも、遺伝子治療によって卵子の健康状態を改善させられるようになるかもしれません。
両親が後天的に獲得した病気が子供に遺伝する仕組みの解明は、次の世代を健康にするためにも役立つはずです。