抗うつ薬の代りに「抗ひきこもり薬」が処方されるようになるかも
今回の研究により、ひきこもりと血液成分の間に関係があることが示されました。
これまでひきこもりは血液成分に反映されるような医学的・生物学的な変化があるとは考えられておらず、うつ病以上に強い偏見が向けられ、患者たちは「甘えているだけ」「怠けている」「人間的に弱い」など精神論の犠牲になってきました。
しかし今回の研究により、ひきこもりの背景には共通した医学的・生物学的な変化が存在しており、血液成分の分析により重症度まで予測可能なことが判明します。
また追加の分析により、ひきこもり者に起こる血液成分の変化はうつ病や気分障害の患者にみられるパターンと一部似ているものの、いくつかの無視できない違いもあることが示されています。
(※例えばアシルカチニンはうつ病や気分障害によっても上昇することが知られていましたが、ひきこもり者では長鎖アシルカチニンのみが上昇する点で異なっています)
この結果は、ひきこもりはうつ病や気分障害とは独立した状態である可能性を示します。
研究者たちは今後、ひきこもりと血液成分の関係を調べていくことで、ひきこもりに効く栄養療法の開発が可能であると述べています。
(※例えば、ひきこもり者の血液で低下しているアルギニンなどを栄養ドリンクで補充する)
またひきこもりの生物学的な理解が進めば将来的に、抗ひきこもり薬などが開発されるかもしれません。